南風のたよりNo5


    南の島の話し、あれこれ、たまには海の話 


    ダイビング屋のホームページなのだから海の話が出てくるのは当たり前なのですが、なかなか書けないものです・・・なぜなのでしよう?ダイビングが大好きで、未だに潜る度に驚きも感動もあるのに、なぜかダイビングの話しを書けなくなってきました・・・が、今日は無理矢理。
    最近、マサプロドに一人で潜る事が多いです。一人で小物レアものを探して、お客さんが来た時の為に確保するのと、暇だから遊びがてら潜るには、ボート代がかからないビーチが良いと言うことで、マサブロド・ノルテに潜ります。
    ここは、ポイント紹介でもさらっと書きましたが、物凄い魚影の濃いポイントです。しかも保護区域のために、魚が移動しません。一度居着くと、しばらく移動しません。
    先日、仙台から来るダイバーのために下見をと思い潜って、1.3〜1.5メートル位、太さはサッカー選手の太もも程度?かなり太めのバラクーダ風の魚を見つけました。いくら近寄っても逃げずにそっと着底したまま動きません。口は、うっすらと開気味。ひれは、どれもほとんど動いていません。エラは、かすかに呼吸しているのが分かる程度に動いていました。色は始めて見る色でした。ウグイス色をもう少し薄くしたような体色に、黒っぽい横しまが入っていました。私が知っているカマス系は、ほとんどが銀色というか、光り物特有のウロコの感じが有るのですが、これには全くその感じありませんでした。ひょっとするとサワラやなんかの見間違いと言う事も考えられなくは無いのですが、私もけっこう潜り込んだダイバーとして、至近距離から見た事もあって、カタチ的には間違い無く、カマス系と確信しています。ひょっとしてカマスサワラなのかな?なんて思いもちらほらですが、カマスサワラなるものは図鑑でもまともに写真が無いので、私には特定は難しいです。
    カマスではもう一種、タイワンカマスの群れが居着いています。遠目に無理すればバラクーダーと言えなくも無いのですが、致命的な違いが有って、ちょっと無理があります。普通にバラクーダーの群れを見た時に、縦長の編隊を組んでいるのに気付いていましたか?。縦長とは、水面方向から水底への事だと思って下さい。タイワンカマスは群れても、横長で、浅場の水底近くにのびる形で群れているため、遠目にも本家バラクーダー系の迫力は有りません。その代わり、塩焼きが美味そうな魚体ではあります。ただし、ナイトでは魚体にライトを受けてキラキラ光ながら泳ぎ回る姿は、昼間のドロップオフのバラクーダよりも美しく、迫力さえあります。

    この日、一番長時間観察したのは、アカククリの幼魚でした。真っ黒な体に、オレンヂ色の縁取りが美しくて、これも動かないのでゆっくり飽きるまで見させてもらいました。ほぼ顔と顔がくっつく程寄った時には、体は動いていないのですが、目玉の動きだけが私を追っていました。それにしても逃げませんでした。
    この日はしばらく続いた大シケがやっと普通のシケ程度に落ち着いた日でした。濁りは水面付近で激しく、2〜3メートルも見えたでしょうか。こんな日は暗いので小魚の集餌が早く始まります。そうすると当然それを狙って中型が現れて、それを狙う大型も後へと。この日は見事に、極小〜小〜小中〜中〜大型と、バトルを展開していました。大はこの日はホシカイワリだと思う大型のアジでした。小、中はそれこそ入り乱れて様々です。面白いのは、ギンガメの子供です。大きめのオヤビッチャと同じ位の魚体ですからギンガメの群れに付いて行けないのか、浅場で同じ位の大きさのオヤビッチャ等の他の魚と群れています。そして不思議な事に、そこに親ギンガメが突っ込むと、ギンガメの子供もいっしょになって逃げ回るのです。通称メッキと呼ばれるギンガメの子供は目がくりくりで可愛いものです。

    アミアイゴと言う魚がいます。見て楽しむ魚では無くて、食べて美味しい魚に分類されるでしょうか。これの幼魚は沖縄などでも「スク」とか「シュク」とか言われて、フィリピンと同じように塩づけにして食べる様です。
    この辺では塩漬けにして干し魚にします。それをフライパンに油を引いてさらっと火を通して食べます。かなり強烈な塩味です・・・あれれれ、名前が思い出せません。10センチに満たない小さな魚で煎餅のように薄っぺらですが、この強烈な塩味が手伝って食は進みます。2枚もあれば御飯がどんぶり一杯食べられる程です。香ばしくて、噛むとなんとも言えない味わいがあります。値段も安く、一袋に10〜12枚程入って10ペソ(25円位)です。

    薄暗くなってくると、どこから出てくるのか、物凄い数の「ヘコアユ」が現れます。ヘコアユなんてフィリピン中どこでも見られますからそれ自体は珍しくもなんとも無いのですが、夜に見られるヘコアユは、大編隊の上、とても良く泳ぎます。御存じのように、頭を下にして妙な格好で泳いでいます。昼間は近寄っても頭を前にしてダッシュで泳ぐ姿はなかなか見られないのですが、夜はちょっと脅かすと水平になって物凄いスピードで泳いで逃げます。夜型の魚は多いですが、これもそうなのでしようね、たぶん。その逃げる様はけっこう面白いものです。ライトなど当てると、一瞬ギラリと魚体が光ってサッと流れるように泳ぎ出します。そして、まるで全員が糸で繋がっているように、とまる時は一瞬で全員揃って停止します。バレエとか体操の演技のようにメリハリがあります。しかし、何度も繰り返していたら、嫌になったのか、一瞬にして見えない所まで泳ぎ去ってしまいました。

    如何でしょうか、私の大好きなマサブロド・ノルテをほんのちょっと紹介してみました。珍しい魚も沢山いますが、それを必死で探すダイビングよりも、私は浅場で、花畑のようなソフトコーラルの周りで乱舞する、宝石のようにキラメク小魚を眺めるのが好きです・・・いや、珍しい魚を探せないからではありません。リクエストが有れば、なんでも探しますよ・・・たぶん。
    マサブロ・・・・本当にすばらしいポイントです。

    ・・・ではまた。


    では、また。

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