南の島の話し、あれこれ、その1
アポ島のおみやげシスターズが豊かになった事を以前、違うページに書いた。
支店長で思い出したが、銀行に口座を作っても、普通は通帳はくれない。ATMのカードだけである。
DMGTの町には信号が無い。子供が下校の時間帯などは、おまわりさんが交通整理をするが、おまわりさんの手信号は絶対では無く、隙あらば突っ込もうとするバイクが後を断たない。さながら交通無法地帯のようで有る。しかし、無法地帯なのであるが、無秩序では無いのがおかしい。それなりのルールは有るのだが、それはおまわりさんの手信号とは一致していないのであった。
南の島の印象が少しは変わったでしょうか。「車も無い南の島は、時間が止まったままだった」こんな書き出しで書きたいのは山々ですが、如何せん事実は、現地の人の日常生活が日の出とともにけたたましく始まり、日没となってもなお喧噪と騒音と排気ガスの臭いが渦巻く、そんな南の島も有るのです。興醒めでしょうか。
南の島と言っても、北の方に住んでいる私に取って憧れの地なだけであって、現地で生まれて育って、日常がすべてその島で完結している人に取っては、どうと言う事のない「話し」ばかりである。島では当たり前の事に異常に興味を示し、そして驚く私は、島では「変な日本人」であるらしかった。
アポ島でダイビングの合間に、休息でコゴンビーチに上がって休んでいると、顔見知りのおみやげおばさんが近寄ってきた。私にTシャツを売るはずも無いし、と思っていたら、袋入りのクッキーを、これ食べなさいとくれた。7〜8年前に、自分達は穴の開いたTシャツを着ながら、必死におみやげのTシャツを売っていた彼女等のあの真剣さは無かった。
彼女等が豊かになったその理由は、沢山やってくるダイバーにおみやげのTシャツが売れるからだとばかり思っていたが、どうやら違うようだった。
確かに、それも理由の一つではあろうが、村に仕事ができた為であると分かった。仕事とは、新しいリゾートの増築にからむ工事や、リゾートでの雑用などである。（リゾートと言っても、シパダンなどのダイビングリゾートと同じ程度のもの）そして、何よりも確実なのが、ダイバーが落とす入海料である。カメラ無しでも50ぺソも取られるのである。カメラ持ち込みは100ぺソと高い。50ぺソとはどの位のパワーを持つ金かと言うと、例えば、コーラは6ぺソ、ビールは13ぺソ、チキンバーべーキューを屋台で食べると35ぺソである。
賃金で言えば、バンカーボートにたくさん乗っているクルーの中で、雑用と、シケの時の重り代わりに乗っているクルーの賃金は、1日80ぺソだ。
金持ちの家で洗濯や掃除をしている近所のおばちゃんの1月の給料は、食事付きだが、1000ぺソ程度であると聞いた。私の考える水準では、相当に安いと思うが、仕事そのものが少ないので、働き手は多い。
銀行の支店長の給料が15000ぺソ（38000円位）であると聞いた時には、さすがに本気で驚いた。当然安くてである。
通帳をもらって、小切手を降り出せる口座も作れるが、面倒で時間がかかるらしい。私は、ATMカードだけにした。そして、火曜日に金を振り込んで、毎日ATM機に通ったが、金が引き出せるようになったのは、入金が有ってからちょうど1週間後の翌週火曜日であった。その間、何度か銀行の窓口へ行って、俺の金はどうした、と聞いたが、いつも、明日はOKだと言うばかりだった。
多分、細かく説明してもこいつには分らないだろうと言うので、適当にあしらわれていたのだと思う。
町の中でフェスタなどがある場合は、バリケードを張って交通を遮断して、州警察が交通整理をするようである。この時は流石に誰もが指示に従う。多分、逆らうと撃たれるのであると思う・・・思うだけで見たわけでは無い。
道路にはほとんど白線などは無い。道路の中心は、走っている人が勝手に決める。だから、大抵、でかい車、高そうな車がはばを利かしている。反対車線をクラクションをけたたましく鳴らしながら走ってくる車を危うくかわす等と言う事は、しょっちゅうであった。
では、また。
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