南風のたよりNo34


    南の島の話し・・・あれこれ 


      フィリピンの家庭料理

     眠っていて突然起こされたので、咄嗟にそこが何処なのか分からなかったが、走った時間と雰囲気から、たぶんアルガオの辺りを少し過ぎたころだろうと思う所でKさんに起こされた。ホテルで朝食を食べてからもう5時間が経っていたし、そろそろ11時になろうかと言う時間だったので、Kさんがお腹が空いたので何か食べたいと言う要望だった。だが、この辺に普通の日本人が安心して食事ができる店は無かった。まあ、メインゲストのKさんの要望に合わせて、若いNさんには少し我慢してもらう事にして、地元の人が昼飯を食べる食堂に入る事にした。
    案の定Nさんはスプライトを飲んだだけで何も食べなかった。Kさんはと言えば、皮付きの豚肉煮込みが美味い、ニガウリの炒め物が美味い、シニガンスープも美味いと、出てくるもの全てが美味いと絶賛していた。流石に戦前に鍛えた人は違う。取りあえず見てくれはさておき、食べてみて判断するのが凄い。フィリピンの家庭料理や庶民の料理は、見栄えはあまり良く無いが美味いものが多いのである。フィリピンの食べ物はイメージ先行で決めてしまうと損をする。もっともKさんは日本でもキワドイ物が平気な人との事だったが。  

      バコカン売り


    おじさんの写真


     食事が終わってくつろいでいると、日本のホームレスよりは数段ファッションセンスの良い「レゲエのおじさん」が現れた。おじさんはバスケットボールを半分に切って作った器に、我々が食べ残した物を入れてくれるように催促していた。店の人がそれをあげるのかと思って見ていたらそれは別の容器に入れられ、おじさんには違うビニール袋から取り出された御飯が渡された。我々の物は違う用途が有るようだった。
    レゲエのおじさんは体中に空き缶をぶら下げていて、その中にはフィリピンのカブト虫、「バコカン」が入っていた。おじさんの写真に移っている、腰に下げたボトルに入っているのはヤシの実のジュースで、バコカンの餌である。
    おじさんは臭い。その臭さの元は発酵して酸っぱい匂いを発するカブト虫の餌の匂いだと思う。けっしておじさん自身が臭いのでは無いと・・・たぶん、そうだろうと思う。
    私はおじさんの妙な匂いを嗅ぎながら、子供の頃のカブト虫の集まる木の樹液の発酵する匂いを思い出していた。そして、無性にそのバコカンが欲しくなってしまって、一匹譲ってくれるように話した。20ペソで商談が成立して、私は一番元気のよさそうなバコカンをもらった。
    それを見ていたKさんが、私も欲しいと言い出して買う事になった。ここでレゲエのおじさんは、日本人はカブト虫が大好き→売れる→値上げすると考えたかどうか分からないが、とにかく突然値上げした。私が一匹20ペソで買った物が、数分後には100ペソに跳ね上がってしまっていた。100ペソ、200円である。まあ、どうでも良い金額では有るが、驚きではあった。しかしKさんは元値の20ペソを知らないので私が騒がなければなんら問題は無かった。

     マラタパイの水曜市


    キハダマグロ



    フィリピン流し


     暇だった。・・・お客さんが帰ってしまうと何もする事が無いので毎日暇なのであるが、この日は特別暇であると実感した1日だった。何故ならば、この日ドゥマゲッティーのダイビングサービスで客がいないのはうちだけだったからだ。
    まあ、そんな事はどうでも良くって、ジタバタしたところで客が来る訳でも無いので、暇に飽かせて昼間ッから酔っぱらうべく、マラタパイの水曜市に出かけた。水曜市の日にはレチョンバブォイやティノーラ、キニラオなどの私の大好物が食べられる。
    私はキハダマグロの美味そうな物を見つけたのでそれを買った。キニラオとティノーラのスープに調理してもらった。ビールのつまみにキニラオを摘んで、口直しにスープと、薄い塩味のしみたキハダを食べてはホアンや知り合いを見つけては馬鹿話しをしていた。
    時々フィリピン風流しが廻って来ては演奏して行く。私は20ペソを払って「スパゲッティー」と言う曲と日本でも20数年前にヒットした「アナック」をリクエストした。アナックを弾くバンジョウの音色は少し淋し気で、ビールがちょっぴり苦くなった。

    では、また。

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