南風のたよりNo31


    南の島の話し・・・家を建てる-2 


      やはり、段取りはすべて狂う

     バンブーハウスの予定は、外圧によってゆがめられ、立派な家になってきてしまった。外圧とは、私を取り巻く一部の人の中のさらにごく一部の、たった1人の「ジェフリー」と言う男の思惑によるものだった。
    彼には悪意は無い・・・と、私は思う。ただ、彼は彼なりに、もしも造るなら、こんな家が良いなぁーと言う程度の簡単な発想から仕様変更をし、材料を変更し、その結果工期が伸び、金が出て行くのであった。
    ここでこれを読んでいる人の中には、なぜ勝手に仕様変更されたりするのを黙っているのだ、そのまま押し通せば良い事出は無いか、と思われる向きも有ると思うが、事はそんなに単純では無い。それに彼は一応は了解を求めて来ているのだった。しかしその時の会話の肝心な部分は、材料の名前であったり、工事の方法であったりして、英語にせよビサヤ語にせよ、私の脳みその辞書には載っていない単語が多く、分からないままに頷いていたと言うのが事実なのである。
    工期が伸びている理由がもう一つある。今年は10月に入ってから、やたらに雨が多い。その影響で工期は大幅に送れているのだった。屋根の工事が終わっていなかったので、その下の工事が全く進まないのである。もしも屋根さえ出来ていれば、もう少し中の工事が進んだのだが。
    大工のエリックは朝早くに現場に来る。8時少し前に来て、天気が良ければその日の段取りを始める。朝から雨が降っていて、終日降り続きそうでも一応は顔を出す。そして、そのまま雨が降り続けば家に帰って行くが、中途半端な日が厄介だ。少しでも仕事に手を着ければ一日の日当を払う事になる。10月の初めの頃はエリックもあまり気にせずに、雨で中断しても良いからと仕事を始めていた。しかし、中段が余りに多く、途中で進まなくなる日が続くと日当を払う私に気兼ねしたのか、怪しい天気の時には手を着けなくなって来ていた。一度手を着ければ4名の日当で一日700ペソと昼飯代を含めて、850ペソ程出て行くのである。
    そんな訳で、9月末には完成かな?などと言っていた家は10月末になっても大してその姿は変わっていなかったのである・・・やはり、恐るべしフィリピンの段取りであった・・・いや、今月に関しては天も我を見放した、になるのだろうか。    

      手続き、その他も面倒だ

    例えばフィリピンにも建築基準法のようなものが有って、建ぺい率のようなものも有るらしい。まことに申し訳ないと思うが、らしい、とか、のようなもの、と言う書き方しか出来ないのは、私が現地の言葉を良く理解できないためで、ひよっとすると全く間違っているかも知れないが、そこは御容赦願いたい。
    そんな訳でフィリピンでも塀一つたてるにも届けを出して税金を払わなければいけない。しかし、スクオッターと呼ばれる不法占拠の住民に代表されるように、しらばっくれてやってしまう輩もひじょうに多い。
    私は届けも図面も揃っているのだが、出来て行く家が図面とも届けとも違うので心配である。最後には確認の儀式もあるらしい。その時にまた不要な出費が嵩むのかも知れないと思うと気が重い。

     材料は自分で買いに行く-2

    建築材料は自分達で買いに行く・・・と、言う事でもう何度か材料を買いに行った。前回が電気の配線と水道配管の材料だった。それらの物は値段以外には興味が無かったので私の仕事は支払いだけだった。しかし、今回はいよいよ内装に係る部分に入って来たので、自分で選びたかったし、値段も気になったので選択の主導権を握るべく、車の運転も自分でしてハードウエアーショップに出かけて行った。結局握ったのは車のハンドルばかりで、買い物の主導権は大工のエリックとジェフリーが握ったのだった。私もせめて配色くらいはと思って参加したのだが、それとても何故か私の思惑通りにはならず、意図しない色の家になって行くのが少し悲しかった。
    家にはトイレを2つ造った。こちらの家はシャワーとトイレが一緒なのでシャワールームが2つと言う事になる。私はバスタブは元から諦めていたが、せめて温水シャワーは欲しかった。そこで私の部屋に着いているシャワールームにだけは電気の簡易温水シャワー機を着ける予定だった。しかし、やはりジェフリーが登場した。私が6000ペソと4500ペソの簡易温水器を見比べていると奴が私に言った。それは日本語だった。「これ、だめ。ダメ,DAME」と言うのである。水圧が安定しないので、ポンプを別につける事になるから、ポンプ代を考えるととても高く着くと言う事だった。店の人にその事を尋ねてみたが、必要無いとは言わないが、別に無くても良いと言う事だった。ただ、水圧が低い時には使えないだけのようだった。
    結局私は20000ペソ以上の温水器を買う事になった。それは20ガロンのタンクに常時熱湯を溜めておける、立派なものであった。これによって複数箇所給湯が可能になり、トイレ2箇所。キッチン2箇所・・・キッチンも大小2箇所有る。外のシャワーと洗濯場まで給湯の配管を回す事になり、その出費がまた予算外だった。
    次に難航したのが床と壁のタイルだった。タイルの値段は1枚15ペソ〜35ペソとたいした事は無いのだが、使う枚数が多いので、1枚5ペソの違いは大きかった。しかし、同行の彼らは私の懐具合など全く考えに無く、自分達の理想とするカラーマッチング理論を展開する。結局ここはエリックに押し切られ、1枚35ペソを1000枚以上買う事になった。
    壁材も、私はコンクリートの上にカラーモルタルで良いと言ったのだが、立派な木の壁材が選択されていた。ついでに言えば、メインのドアーはマホガニーの板である。彼らが言うにはこの家にはこのくらいのドアーが付かなければならないのだそうである。

     竹の値段の高騰

     最近のフィリピンの家はブロックとコンクリートで出来ている。一般の家だと仕上げはしない家も有り、コンクリートむき出しや、ブロックのままと言う家も多い。私は家の外回りはコンクリートを竹で覆いたかったのだが、材料を買いに行って諦めた。
    ほんの数年前までは竹は貧乏人の家の建築材料だった。すぐ向かえの島ボホールは竹の産地でその他のビサヤ地方の島も竹は豊富だった。だから竹とココナッツの木で造る家が一番庶民的だったのだ。
    ここ数年外国人が建てる家は竹を多用するようになった。特に欧米人のリタイアメントたちはオリエンタルムードの演出に竹を多用していた。その需要で竹が高騰した。品不足と言う事では無いらしく、値段に無頓着な外国人が高く買ってくれるので高値で納まってしまったようだった。安く買う方法がなくも無いが、青竹を買って乾燥させて材料になるまでに時間が掛かり過ぎる。高いのは建築材としての竹なのだ。
    技術的な問題なのか、好みなのか、値段の問題なのか分からないが、日本のようにビニールの類いのプリント壁材はほとんど見られない。コンクリートの壁に合板を張って、その上にビニールの壁紙と言う仕上げはあまり一般的では無い。近くのアメリカ人は国から壁紙を持ち込んで好みの壁を仕上げたが、結構な金と時間が掛かったと言う事だった。

    多分来月完成の予定

    10月半場には住めると言っていたのが、もう明後日は11月です。
    11月中場には完成すると、希望的観測なのですが、はたしてどうでしようか。予算オーバーなどと言う生易しいものでは無く、見積もり無視、当初の計画は無し・・・しかし、遅々としてはいるものの、取りあえずあのフィリピンの地で事がそれなりに進んでいると言うのは凄い事です。そして、予算も、とんでもないものに余計な金を払った訳では無く、予定以上に立派になった部分に払ったものなのでそれも仕方が無いと思っています。
    考え方を変えれば、けっこう立派な家が70〜80万円で出来るのですから本当は安い物です。
    私の家の隣の敷地はまだ後2〜3軒は建てられますから、隣組みになりませんか・・・真面目に相談に乗りますよ。


    10月25日の姿 1


    では、また。

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