南風のたよりNo29


    南の島の話し・・・暑い、常に暑いドゥマゲッティー 


      スーパーキャット

     セブからドゥマゲッティーまでは朝8時発のスーパーキャットで行く。以前は色々試してみたが最近はこれに定着した。これで行くとドゥマゲッティー到着が11時15分と昼近くなので当日のダイビングにはちと遅い。しかし、この前の便はオーシャンジェットの6時発で9時30分ドゥマゲッティー着になるが、それに乗るには5時にはホテルを出る事になる。と、なれば起床は4時半か。前日のチェックインは順調であれば8時頃。それから食事に出て、一杯やって帰ってくると10時。シャワーを浴びて寝て、早くても10時半。前日の疲れも考慮すれば、8時のスーパーキャットが妥当だと思っている。
     スーパーキャットが出航する前にコーストがードが乗り込んでブリッジに上がって行くようになった。毎回である。今年の春頃から始まったと記憶している。目的が何かは良く分からない。定期船で特定の航路を走る船に毎回乗り込んで来ていったい何を調べるのだろうといつも不思議に思う。コーストガードの係官はバインダーの用紙に何やら書き込むのだが、私にはそれがとても気になる。
     老朽化した一艘が現役を引退して岸壁に係留されている。すべての艤装をはずされ、ただ浮いている。方や現役の船は春にリニューアルされてシートや船内のテレビが新しくなった。船体も塗り直されている。
    内装やテレビが新しくなった事は悪くは無いのだが、船内を冷蔵庫のように冷やす特別サービスは変わっていない。乗客のほとんどが寒いと言っていて、毛布をくれと言っている。これが毎日繰り替えされている。毎日が何年も繰り替えされている。とても不思議なのだが、これこそがフィリピンなのだった。  

    アカシアとマンゴーの大木

     ドゥマゲッティーを起点にネグロスオリエンタル州を東西どちらに走ってもアカシアの大木を見る事ができる。幹の太さは直径で2mを超すと思われるものも多い。高さは、それこそ見上げてもてっぺんなど見えない高さだ。
     マンゴーも大木になる。大木は道沿いに多い。日陰を作る為に植えられ、歩いて移動していた時代から大切に残されたのだろうと思う。
     アカシアからは良い蜂蜜が取れるがドゥマゲッティーかいわいで養蜂を見た事は無い。蜂蜜を売っている姿も見た事が無いので、大掛かりな蜂飼いはいないのだと思う。これだけ花が豊富なこの土地で養蜂が行われていないのは不思議な気がする。私が知らないだけで行われているのかも知れないが、何か出来ない理由が有るのだろうと私は思う。そう言えば蜜蜂の姿を見た事が無い。

    電線は蜘蛛の巣状

     日本の都市部では、電線が美観を損ねるとの理由で邪魔物扱いされているが、フィリピンでは電線の有り様など問題にもされない。フィリピンの電線は蜘蛛の巣状である。場所によっては電線が絡まり有ってダンゴになっている所さえ有る。
     フィリピンでは不要になった電線が撤去されている様子は無い。新しい電線は古い電線を乗り越えて張られ、不要になれば置き去りにされている。その理由は多分、撤去して良い電線かどうか見分けるのが困難なのだと思う。また、電信柱にも規格など無いようで、場所によって電柱の高さも太さも、また設置されている間隔も様々だ。電柱から自分の家まで長い距離の引き込みをする場合は、まるで素人が配線をしたように見える場所も有る。途中の垂れ下がった電線を支えているのは竹ざおだったりする。
     不景気が叫ばれている日本だが、私にはとても豊かに見える。電線なんて、電気が来ればそれで良いでは無いか、などと言うのは、私の文化的意識が低いからなのだろう。

    音に鈍いフィリピン人・サンタモニカの騒音

     朝、いつものようにダイビング行くためにお客さんをサンタモニカに迎えに行った。お客さんはまだ朝食を食べていた。もうじき、伝えてあった出発の時間なのだがどうしたのだろうと思いながらテーブルに近づいていった。お客さんは私の顔を見るなり明らかに怒った顔で「昨夜は一睡もできなかった」と言った。訳を聞くと、ホテルで行われたパーティーのスピーカーの音がうるさすぎて眠れなかったと言うことだった。その騒音のすさまじさは、ホテルの部屋の壁をビリビリと震わせる程だったと言う。しかも、夜中の3時までその音は続き、3時になって治まってやっと眠れると思ったら隣の部屋へ移動してきた客がさっきにもまして騒ぎ立てるのでまたもや眠るどころではなくなった、と言う。
    その間にお客さんは何度もホテル側へ苦情を言ったが、今日はパーティーだから仕方がないと言われたという。ホテルのボーイが部屋の壁が振動する様を確認に来てドアまで共鳴しているのに驚いたと言う。しかし、すき間に何かを挟んだだけで帰っていったらしい。
     最近サンタモニカに泊まったお客さんから騒音に対する苦情が頻発している。今回と同様にパーティーのカラオケの騒音の苦情もあった。そしてもう一つ見逃せないのが、ダイビングタンクへのエアーチャージのコンプレッサーの音だ。特にコテージに泊まった場合は最悪らしい。すぐ裏手にコンプレッサーが有り、夜中までエアチャージが続く事も有る。
     この日の朝、朝食が終わったお客さんからダイビングはキャンセルすると言われた。一睡もできなかったのだから当然ではあった。私はホテルのフロントに苦情を言ったが、返事は「仕方がなかった」である。申し訳ないの一言が有るわけでもなく、改善の方法が示された訳でも無かった。私はマネージャーにできる限りの苦情を言ったが無駄だった。あとはホテルを代えてお客さんになっとくしてもらうしか無いと思い、チェックアウトして他へ移ることをマネージャーに伝えた。
     移った先は私が最近定宿にしている「エル オリエンテ ビーチリゾート」である。ここは静かである。なぜならば客がいないのである。客室はきれいで冷蔵庫も有る。プールも有るし、従業員はサンタモニカ以上にフレンドリーだ。では、何故最初からこちらを利用しないのか。ここは海沿いなのだが、サンタモニカのように開けた感じになっていない為、開放感に乏しいのだ。サンタモニカのレストラン、中庭、プールサイド、どこも開放感に溢れていて気持ちが良い。エルオリエンテはここで負けているのだ。
     ちなみにエルオリエンテにも騒音は有る。お客さんは3時半に起こされたと言っていた。騒音の主はニワトリだった。闘鶏の盛んなドゥマゲッティーでは沢山の鶏が飼われている。それらが夜も明け切らぬうちから鳴くのだ。その鳴き方は一羽が鳴けば連鎖的に掛け合いで鳴き続ける。しかし、私は慣れてしまったのか、まったく気にならないので、これを騒音とは言わないでおく事にする。


    エル・オリエンテ・ビーチリゾート


    では、また。

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