南風のたよりNo26
南の島の話し・・・本格的にレチョンバボイを紹介します
では、写真入りで御案内します。
ブタは小屋の中でまだ何も知らずにプヒブヒ言っています。
最後の餌をもらって、うまそうに食べていました。この後足にヒモをかけられる段になってただならぬ気配を察して悲鳴をあげます。
ブタはまだ何も知りません

ブタはあっと言う間も無く、頸動脈にナイフを入れられ即死しました。
頸動脈から吹き出す血をバケツに集めている所です。この血はすぐに料理されます。フィリピン人はこの血を煮て固めたものが大好きで、ペースト状の物を御飯にかけて食べます。
ブタが生き物から食べ物に変わった瞬間でした

ブタをきれいに水洗いします。
水洗いの後熱湯をかけて鉄のヘラでブタの毛をそぎ落とします。作業としてはこれが一番時間が掛かるようです。
この当りからブタの肌が薄いピンクから真っ白なろうそくの色に変わって来てすっかり生き物のブタから豚肉に変身しました。
水洗いです

熱湯で脂肪が変色?

ブタの内蔵を取り出す為に肛門の周りを大きくくり抜きます。腹はナイフではなくカミソリで裂きました。このナイフの入れ方で腸を破いてしまっては失敗です。けっこう気合いを入れて慎重に切ります。
ブタが豚肉に変わっています

内蔵を取り出されたブタの尻の穴から、竹ざおを刺して行きます。しかしこの作業も熟練を要する作業らしく、簡単に串刺しとはならないようです。死後硬直なのかどうかブタが丸まって固くなって来ています。何度か軌道修正をして男が二人掛かりでの力仕事でした。
ブタが串刺しになる所

ブタは3〜4時間かけて焼かれますので、その間に崩れないように針金で形を整えたり、釘で固定したりします。この時の整形がうまく無いと焼き上がった時に台の上の座りが悪く横に寝てしまいます。
串刺しになったブタの最終整形です

捨てる部分は「ウンコ」だけです。内蔵もすべて料理します。痛みやすい順番を心得ていて手早く処理して行きます。日本なら法律で許されない料理ですが、この国ではこの処理ができる男はポイントが高いのです。
向こう側に掘られた穴の前で大腸は処理されて、穴はすぐに埋められます。
内蔵の処理です

ブタの腹にレモングラス・ブラックビーンズ・ニンニク・タマネギ・塩・スプライトなどの調味料が入れられて、全ての穴が縫い合わせて塞がれます。スプライトがブタの皮をクリスピーに仕上げるのだそうです。
腹にハーブや野菜をつめて縫い合わせます

下ごしらえに約2時間。やっと火に掛けられるところまできました。この後、赤シャツのディトさんは3〜4時間も火の前でブタを回し続けるのです・・・彼の本職はペンキ屋です。
いよいよ火に掛けます

良い色になって来ました。しかし今回はディトさんが途中で酔っぱらって失敗して、火を強くし過ぎて少し焼き過ぎてしまいました。
うまそうな丸焼きになりました

このブタの丸焼きをメイン料理に私の誕生日パーティーを開きました。
近所の人も含めて40人ほどが集まっくれました。
習慣に則って食事を始める前にお祈りをしたのですが、その時、私は生まれて始めてたくさんの人に祝福される誕生日というものを体験しました。普段、神も仏も、「なんじゃいそんなもの」とうそぶいている私ですが、私の為にたくさんの人が祈ってくれる姿に本当に感激して、この日のこの機会を与えられた事に感謝しました・・・まあ、すぐに酔っぱらって地が出るのですが、2〜3分は神妙にしていました。
いゃぁー良いもんでした。普段ほとんど他人から相手にされる事のない私でも祝福されるフィリピン・ドゥマゲッティー・・・この次は貴方の誕生日をここでやりませんか?
パーティーの途中です

では、また。
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