南風のたよりNo14


    南の島の話し、梅雨?とアポのサンゴの話


    6月13日か14日だったと思いますが、ドゥマゲッティーから家に電話をした時に「仙台も梅雨入りした」事を聞きました。
    その前日の夕方、カンラオン山の上にかかる雲の流れが少し変わっているのに気が付きました。風向きが変わるのかなと思ったら、翌日から南南東、東南東の、ビサヤで言う「アミハン」が吹きはじめました。
    前々から思っていたのですが、日本の天気が思わしく無い時にはここも良く無いなぁ、と思っていました。今回、仙台の梅雨入りとこちらの風向きが変わったのが同じだった事でいよいよ確信を持ちました。ドゥマゲッティーの天気は仙台でもわかる。若しくは、仙台の天気はドゥマゲッティーでも分かると・・・・?。いやしかし、笑えませんよこの話しは。
    風向きが変わる数日前から前兆はあって、毎晩強い雨が続いていました。バケツをひっくり返したようなものから、ドラム缶をひっくり返したような強い雨。はたまた、消防車の放水も真っ青と言うくらい強い雨が長く続いた夜もありました。この時等は我が家のトタン屋根は雨粒のドラミングでものすごい音を立て、ぐっすり寝込んでいたのにとび起きました。
    しかし雨は朝には確実に上がっていて、日中は強い日射しが照りつけます。気温は、36度を超える事もしばしばです。
    今、蝉が多く出ています。夕方、ジェミリーナの木にとまって鳴いています。

    マサブロド・ノルテによく行きます。タンクを2〜3本持って午後からぶらっと出かける事がほとんどですが、先日、一日で5本潜った日がありました。深場探検と浅場の捜索と、ばれたら大変だけど・・・漁師が仕掛けた魚捕りのカゴの撤去が目的でした。カゴは枝サンゴの群生の上に落とされていたものと、つぼ海綿に乗っ掛かっていた物を、ちょっとはじっこに移動させたのでした。
    ここでも漁師とダイビングポイントの管理者がせめぎあっている様子がうかがえます。漁師は少しでも禁漁区を狭めようと働きかけ、ポイント管理者はそれに対抗する為に 金でなんとかしようとして、ポイントへの入海料やらの料金を上げて、ダイビングが儲かる事を示そうとします。料金が上がると嫌気をさしたダイバーが来なくなり、ますます儲からなくなり・・・悪循環です。

    ドゥマゲッティーエリアのメインポイントのアポも係船ブイの利用料だの、カメラの持ち込み料だの、入海料だのといろいろ取られます。金を取るのは熱心ですが、その割には漁師の圧力でポイントは狭まっています。一番の見物だったマムサのギンガメのたまり場には入れなくなってしまいました。(代替場所発見済心配無用)その場所はナポレオンポイントと呼ばれていて、大型のナポレオンやバッファローフィッシュを見かける事もある場所でした。そこの砂地の窪みにギンガメが渦を巻くのですが、漁師もそこが一番のポイントなので、ダイバーに入ってもらいたく無いのも良く分かります。
    しかし、まったくの禁止にしてしまってはやがてはリピーターのダイバーも減るだろうから、なんとか共有する方法が無いものか、と言う話を集金係りのおばさんにしたのですが、バランガイ(村の寄り合い)で決まった事だからと言われて終わりでした。
    アポは最近、ダイバーにはよく無い話ばかりです。マラタパイのダイビングボートを一手に引き受けているホアンも、客が少なくて困っての事なのか、ボートの値上げをしてきました。ホアンのボートのペンキが剥げたままになってから久しいです。
    たぶん彼はこう考えたのでしょう・・・「船を塗る程の量のペンキは買えないが、看板なら書き換えられる」と。
    アポ島のポールダイバーズは繁昌している様子で、増築をくり返してキャパはますます大きくなっています。最近ではスーパーキャットの中で見られる映画の合間にCMを流している程です。
    小さな島に滞在する人が増えると必ず水の問題が起こります。水不足と雑廃水の二つの問題です。
    島で生れ育った人は、少ない水を上手に利用します。水道の発達したところから来た人は、西洋東洋を問わず、大量に水を必要とするようです。沢山使えば廃水も沢山出ます。
    廃水が原因とは言い切れませんが、私はかなり関係が有ると思っているのが「アポ島のサンゴ死滅」問題です。
    アポ島のエダサンゴがかなりの勢いで死滅していっています。サンクチュアリでギンガメを見に行って、水深2〜3メートルで見事なテーブルサンゴを見て感動した人は多いと思いますが、あれも死にかかっています。わずかに色の残っている部分も有りますが、ほとんど白化しています。
    数年前、海水の異常な高温化で、沖縄のサンゴやフィリピンでもボラカイなどでそうとうなサンゴの白化現象が言われましたが、その時でもアポ島は無事でした。アポ島では昨年も今年も海水温は普通です。
    私のHPのポイント紹介の中でもサンクチュアリの枝サンゴとスズメダイの群れの写真を使っていますが、この写真のサンゴも急速な勢いで白化しています。
    そして気になるのは、白化したサンゴの上に、すぐ堆積物が溜まる事です。私はこんな事には全く知識が無いので何も分かりませんが、なんとなく、「ああ、海が死んでいってるなぁ」と感じるのでした。
    この日、すごく気になったので、水深1メートルから7〜8メートルの、一番サンゴが元気な水深を意識して泳いでみましたが、不思議な事に、深場に行く程死んでいないと言う事に気が付きました。これは何を意味するのか、少し真面目に観察する必要があるなと、素人ながら感じました。ちなみにこの日、サンクチュアリでギンガメやカスミアジに会いませんでした。
    とは言え、アポはまだまだ実力有りです。マムサに2本入って、2本とも見事なロウニンアジ会いました。真っ黒な体にまるで刀傷のような銀色のしま模様が入った、これこそがロウニンアジと言う風格の魚でした。最初に、強い流れに逆らって優々と泳いで来たのが見られ、あと一度は、水深が36メートル、いつもハタが潜んでいる棚の中から飛び出して来たのが見られました。
    サンゴやソフトコーラルに関して言えば、サンクチュアリよりもロックポイントやマムサのエントリーしてすぐのサンゴが見事です。ここいらは白化もなく、活き活きしているのが分かります。

    そうそう、ドゥマゲッティーで唯一安心して刺身が食える「ラブ・アス」へ行って鰆(サワラ)の刺身を食べました。お客さんのおごりなのですが。その鰆が、本マグロのトロ真っ青と言うくらい脂がのっていました。SBねりわさびもきっちりと利いて、いやあ、旨いのなんの、馬鹿ウマでした。そしてその料金が安いのに驚き。相変わらずの「蒸し牡蠣」も美味でありました。
    この日のラブ・アスのお客は20人程度とけっこう混んでいました。エアコンの効いた店内と外のテーブルが有る店ですが、この約20人は全員店内の席でした。
    ラブ・アスは海沿いの店で、外には心地よい海風が吹いていて涼しく、食事をしながらセブ島のリロアンの灯や漁り火が見えます。
    中の席のお客全員が日本人でした。店内の席ではあまり上手とは言いがたいけれど、ピアノの生演奏が聞けます。
    もしも貴方がドゥマゲッティーに来られてラブ・アスで食事をするとしたら、どちらの席にしますか?

    ではまた


    では、また。

    問い合わせ、質問のメールはこちらです ow807360@mars.dti.ne.jp


    さいしょに戻る 南風のたよりNo15へ