第24話
封印の解き方


2005  5/27 UP

 「どうやら踊らされてまったようだな・・・」 吉野達はアジトに戻り作戦会議をしていた。
                          
「話が淡々と進むからおかしいと思ったんですよ」 田中はのぶとい声で言った。

「あれだけ探して見つからないという事は?」 村上は質問する。

「そこが謎だがや!・・・」 吉野は興奮して言った。

「マイグレーターも、もしそれを探しているとしたら・・・」 田中は質問する。

「答えは見つからないような所に隠してあるとしか、考えられせん・・・」 吉野は言う。

「わしらーが、あれだけ探しても、どこにも無かったんだからな・・・」 吉野はいらだちを隠せなかった。

「どこか壁の中とか床の下に埋めてあるとか・・・」 田中は吉野の顔色を伺いながら言った。

「いや、わしはクレヤボヤンス(透視)を使ったが、どこにも無かった・・・」 吉野は答える。

「では、あの家には存在しなかったと断定できるのでは・・・」 村上は言う。

「そうだ。あの家には存在しない・・・ではどこにあると言うのだ?・・・」 

吉野の顔が徐々にアップになる・・・
                     


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所変わって、高志のマンションでは中場ユリとリリスが戦っていた。

「おりゃーーー!」 ユリは持ち前の格闘術で強襲する。

リリスの敏捷性からユリの攻撃を全てかわすことは難しく、

壁を抜けたり、瞬間移動で回避している。

「さすがに、サイキックを使う暇が無いわね・・・」 

リリスは壁を抜けてユリとの距離が開く位置に現れ

ユリが攻撃をするよりも早くサイキックを打ち込むことにした。

「今だ!!」 リリスは絶妙な位置に現れた。

「きゃああ!」 ユリは膝をついた。

「目が・・・目が見えない」 ユリは目を両手で覆った。

「つぎは金縛りよ」 リリスはこうなると楽勝だった。

ユリは目が見えなくなり攻撃不可能となり、

移動する事も出来ない。

ターゲットが移動しないとなると簡単に金縛りの超能力を仕掛けることが出来る。

「金縛りの後はゆっくりと幻影を味わいなさい」 リリスのコンボであった。

この3連続コンボで獲物を仕留めて来たのであろう。                                    

ユリは幻影を見始めた。

それは今まで見た中で一番恐ろしいと思われる

物体がユリに襲い掛かるのだ。

いくら幻影とは言え、そいつに切り刻まれれば、人間はショック死をする。

ユリはまるで地獄からよみがえったかの様な悪魔を想像していた。

その悪魔が徐々に襲い掛かってくる・・・

恐怖は極限まで達しようとしていた。

   ユリの想像の映像開始

 その時、高志がフォースフィールドと言う半透明な壁から離脱した。

「あれれ・・・暴れん坊が脱走したのね」 リリスはセクシーな口調で言った。

「ゆるさねえ!!」 自由になった高志はすかさず攻撃に転じる。

高志は何度となく攻撃を繰り返すが、命中した所でリリスに傷を負わせることは無かった。

非常に残念であるが、我々の次元の物質ではリリスには傷を負わすことは出来ないのだ。

それはリリスが我々の次元の生命体で無いことを意味している。

「だめだ・・・コイツには効かねえ・・・」 高志は絶体絶命のピンチに陥って行く。

「いいかげんに観念してその体を提供なさい・・・ふふふ」 嬉しそうなリリス。

「一かばちかだ・・・」 高志はユリの体を抱き上げた。

「逃げる気?・・・ふふふ・・・むだよぅ・・・扉はロックしたわ」 勝ち誇った笑みを浮かべるリリス。

高志はユリの体を振り回し始めた。

「ええ?」 この行動にはさすがのリリスも驚いた。

硬直状態のユリの体を、まるで棒術のようにくるくると回して攻撃するのだ。

それはまるでフィギュアスケートの男女のペアー競技の様である。

リリスはあわてて高志をホールドしようとしたが、高志には効かない。

「ちっ!坊やは、まだブランク状態なの?!」 笑みを失ったリリス。

高志は怒涛の攻撃を繰り返す。

このラッシュにはリリスといえども回避する事は出来なかった。

リリスはユリの拳がクリンヒットして吹っ飛んだ。

ユリの拳はサイキックのオーラでまとわれているのでリリスにダメージが入るのだ。

きりもみのように回転しながらリリスの体は中を舞う。

そして壁に激突。さすがに痛そうな顔になったリリス。

「こ、この二人のコンビ最強じゃん・・・洒落になんないわ・・・」 形勢逆転とリリスは撤退状態になった。

「今日は、ここまでにしとくわ・・・でもこれだけは言っておくわ・・・その力はOOooOOoooOOO・・・

「じゃあね!しゃらばーーーい!」 (ちゃんと言えよ!しゃらばーいって、あんた・・・) 

「何時でも来な・・・」 かっこよく決める高志。

今まで絶対と言っていいほど太刀打ちできなかった超能力を持つ面々に

勝てると言う手ごたえを感じた高志は、今だ血沸き肉踊る感覚を噛締めていた。

(ゲーセンで強い対戦相手に勝ち始めた感覚・・・3000円ほど使って・・・) アホ!!



 「ユリちゃん・・・しっかりするんだ」 高志はユリをベッドに寝かせた。

何とかその幻影はリリスが去ったおかげで消えたらしいが、ショックはまだ残っているようだ。

 
 
 リリスは少し離れた所で吉野に携帯で連絡を取った。

「何だと?・・・そうか・・・」 吉野はリリスの話を効いてあせりを隠せない・・・

「気をつけて戻って来い。うむ・・・」

「やはり・・・我々が恐れていた事が起こったか・・・」 吉野は苦い顔で言った。

「どうかしましたか?」 田中が聞いた。

「ブランカーだ。あの少年はやはりブランカーだったのだ」

「ええ!」

「ブランカーはサイキックの精神攻撃を受け付けない・・・」

「あの少年は物理的に仕留めなければならないが、厄介な事に格闘術を身に着けている・・・」

「そしてあのサイキックウオーリアーの少女とコンビを組めば我々とて葬られかねん・・・」

「マイグレーターも押えねばならんし・・・」

吉野はソファーに沈み込み考えた・・・

しかし答えは簡単にははじき出されなかった・・・


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一方、朝倉朋子はマーピック教授から受け取った、あのディスクを調べていた。

これまで解っている事は、

  1)マイグレーターは異次元より現れた生命体。

  2)遭遇した3次元人は潜在能力さえあればそれを引き出す力がある。(超能力が使えるようになる)

  3)マイグレーターはマハマンのお守りを探して移動していると推定される。

ここで新たに二つの情報が手に入った。

  4)マイグレーターはサイキッカーを探知できる能力があり、それを飲み込もうとする。

  5)マハマンのお守りの封印を解き放ち、マイグレーターを葬り去る力を得よ。
                      
「マハマンのお守りの封印を解く?」

「お守りを地面に置いてコマンドワードをとなえる?」

「コマンドワード・・・何かしら?」 朋子は必死で解読しようとしている。

「コマンドワードとは・・・その封印を解くための合言葉?」

「開けゴマみたいなおまじないかしら?」

「コマンドワードは・・・ネ・コ・カ・・・」

「猫?か?なんか変なおまじないなのね・・・」

3次元人にすればそれは可笑しなフレーズかも知れないが、異次元では

”出でよ偉大な大悪魔よ”という意味かもしれない。

間違っても、身を潜めていた、こそ泥が物音にあせりを感じて振り向いたら猫が現れて

なんだ・・「猫か・・・」と言ったのではなかろう。(笑)

「その力は”オブジェクトB”を持つ者に与えられる・・・」

「何かしら・・・このオブジェクトBって・・・簡単には教えてもらえそうに無いわね・・・」

朋子はほとんど徹夜で調べに入っていた。

明け方、朋子は調査の結果、重要な事柄を得る事が出来た。

それは、マハマンのお守りは本体とオブジェクトA、オブジェクトBの3個から成り立っていると言う事であった。

ただ、残念な事にそのオブジェクトが何かは解読できなかった。

という事は、吉野たちや主人公たちは今現在の時点ではどれ一つも手に入っていない状態であった。

では一体どこに?

ジュエリーボックスに本体を入れて置いたはずなのに無くなっていた。

しかし吉野たちが奪ったわけではなかった。彼らが来る前に本体は何者かに奪われていたと言う事になる・・・

何者が先に奪い去ったのか?

そしてオブジェクトA、オブジェクトBとは・・・
                   

つづく・・・

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