■挫折から甦生の日々にくぐもる一途な真実を求めて、
60年世代の青春群像を鮮やかに書き上げる長編傑作。
■風が立ち、淡く過ぎ去っていく日々。
わたしたちは不在の愛を確かめあっていた。
さようなら、わたしたちはいつも流離っていたーー。
■晩秋の高原のホテルに、ひとりの女がうなだれている。
その女の回想のページが、そっと開かれるーー。
■1960年、京都。安保闘争に激しく揺れる学園で、
4人の若者がそれぞれの青春を送っていた。
それから、7年。挫折と悲哀の中で彼等は逡巡しながらも、
自己を厳しく確かめあう。
空白の60年世代の鎮魂曲だった。
■物語は模索と彷徨をゆるやかに繰り返し、漆黒の闇のように混沌たるうねりをもって展開する。
遥かに困難な現代の啓示としての痛切なロマンを内包しながら、愛と苦悩にみちた歳月。
そのひたむきな生の遍歴。京都からパリへ、そして、東京、軽井沢への回想の25年。
装丁:中島かほる
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