よたよたと、山登り


    No.40 バテました

       

    カモシカ温泉 経由 名号峰

      8月06日 歳の河原P(9:40)〜カモシカ温泉跡(11:00)〜名号峰(12:30)〜刈田岳(15:00)〜賽の河原(16:00)

     体調は今イチ・・・しかし、山には行きたし・・・しかも、金も無い・・・どーする?
    んじゃぁ、おにぎりとお茶だけ持って、気軽にハイキング的山歩きと言う事で、北泉でも行くべか?
    あっ、そうだ・・・カモシカ温泉から名号峰なんか楽じゃないか?エコーラインで高い所まで車で登るし、と、こちらに決定であります。
    そんな訳でのこのこと8時に自宅を出て、一路蔵王エコーラインの賽の河原駐車場を目指したのでありました。

     大きな駐車場には水洗トイレなどもあって、出発準備は万全でありまして、歩き始めたのは9時40分でありました。
    体調が思わしく無いのであんまし過激な山はチョット、と言う事で、車で標高を稼げる場所を選んだ訳でありまして、出発点の賽の河原は既に標高1250メートルにもなっているのでありました。
    で、取りあえず目指す名号峰は標高1490メートル、と言う事で、その標高差は僅かに240メートル・・・まさにお手軽ハイキングだわい、と。

    ここまで遊歩道で、ここから先は本格的な山道になります

     さて、賽の河原駐車場からしばらくは舗装された遊歩道を行く訳でありまして、ここら辺もハイキングなんであります。
    そして、ようやく散策路が終わって山道らしい所へ踏み込む事になる訳でありますが、なんと、そこからはいきなりの下りでありました。
    濁り川の谷間を挟んでカモシカ温泉に荷物を渡していたんだろうと思うケーブルのやぐらを見て、なんとなく記憶にあるなぁ、なんて思いつつ山道に入った言ったのであります。
    しっかりした踏み跡の登山道は、グイグイと下ってゆくのでありますが、それも当たり前の事で、濁り川の谷底目指して、200メートルの標高差を下る訳であります。

    濁り川には善意の橋が・・・辺りは落石の跡が多くちょっと危な気なムードです

     大昔、濁り川や振子沢で遊んでいた記憶がよみがえって、少し遡ってみたくなり振子沢を辿ってみたのでありますが、看板など掲げられなくても一目見れば落石が危険でしょう、と伺える雰囲気でありまして、早々に退散であります
    濁り川に掛けられていた橋はどうも手作り風で、誰かが善意で掛けた物のように見受けられまして、私は、感謝の念を抱いて渡らせて頂きました。
    さて、濁り川を渡ればいよいよ登りに入る訳でありますが、つい最近刈り払いなどされたようでして、足元はまずまず歩きやすいんであります。

    野湯として有名になったカモシカ温泉跡近辺には、風呂を作る為のシートが常備されております

     一時間程も登りますとカモシカ温泉跡に到着したんでありますが、あいにくの霧雨で視界は無く、噴気孔を確認する事も出来ずにここまで来た訳であります。
    で、生い茂る夏草と薮をかき分けてカモシカ温泉の湯船を見に行ってみたんでありますが、まあ、見ても仕様が無い物だな、と言うのが正直な所で、往時を偲ばせる物は微かに認められる土台の石垣だけでありました。
    インターネットなどで有名な野湯としてのカモシカ温泉は、落石の危険がある為に通行禁止になっているロバの耳コース方向へ行った所にあるようであります。
    本当は野湯にも入りたかったんでありますが、時間が無いのと霧雨が降っている事から本日は諦め、後日、野湯を攻める目的だけで再度訪問する事でカモシカ温泉跡から稜線の追分を目指して先を急ぎました。
    道々には名も知らぬ美しく可憐な花が咲き乱れ、蝶やトンボが舞い、アブなども襲って来てとても賑やかで退屈しないのでありまして、見通しは利かないけれども退屈では無い登りでありました。

     
    本日歩いたコースの道標は古くて痛んでいる物が多く、唯一新しいこれは熊にかじられていました

     しかし、アレです・・・特にカモシカ温泉跡から追分に出るまでは、なんとも歩き難い登山道でありまして、刈り払いをしたばかりとはとても思えない登山道でありました。
    理由はたぶん、先日南蔵王で刈り払いが問題になった後なので、慎重に大袈裟にならないように樹木などに配慮して刈った結果、中途半端に枝や薮を残す事になったのだろうと思う訳であります。
    この登山道は、私に言わせれば「半端物」でありまして、植物に気を使いすぎて人間が歩き難く、かと言って、切らなければどうしようもない所は切るので、植物にも迷惑だと言う、どっち付かずの登山道な訳であります。

    登山道に覆いかぶさる木、これを残す意味はあるのか、私には納得出来ません

     登山道に覆いかぶさる樹木のうち、シャクナゲは100パーセント切らずに残す事にしたようで、その他、紅葉の時季に色の奇麗なモミジなども残されている訳です・・・樹木に対して大差別だろう、なんちゃって。
    そんな訳で、膝を折り、腰を屈めて低い姿勢で木下をくぐらなければならないところや、目線程度の高さに枝葉が生い茂り、歩き難い事この上無い道になっているのであります。
    泊まりの重い荷物を背負って腰を屈めて障害物をくぐるのは、どれ程難儀な事かを登山道の管理者は考えないようであります。
    ただでさえ水場が無くて縦走し難い蔵王を、益々歩き難い山にしている訳で、なんとも貧弱な管理体制でだなと、歩いていて怒りさえ覚えた程でありました。
    まあ、昨今の山登りと言うのは、日帰りの軽荷を背負った人ばかりと、南蔵王の笹刈りにクレームを付けた宮城県山岳会あたりでも定義しているんでしょうね・・・本当に山を知っていたら、あんな登山道がどんな危険を生むのか、それも分りそうな物なんですが、まあ、黙っておきましょう、と。

     顔に当たる枝葉にイライラし、頭を低くして通り抜けなければならない障害物競走まがいの歩きに辟易しながら名号峰にたどり着いたのは12時30分でありました。
    よっしゃぁ、昼飯時だなと言う事で、しっかりと腰を下ろしておにぎりを二個食べ、熱い番茶など飲んでの休憩でありました。
    障害物競走が祟ったのか、それとも、登山道に対する怒りから血圧が上がったのか、なんだかちょっと身体が重く、フラフラするんであります。
    なので、いつもの山行ではほとんど休みなど取らないんでありますが、本日はたっぷりと30分間休んだのであります・・・天気が回復して気持ちもよかったし。
    で、休息の後、ここから雁戸への道はどんなかな、と少し辿ってみますと、笹刈りなどもされていない様子で少々薮っぽくなっておりました。
    ふぅーん・・・往年の北蔵王縦走路も随分と寂れたものだなぁ、やっぱし、荷物担いでの縦走は流行らない時代なんだな、としみじみ実感でありました。

     予定では来た道を戻るはずだったんでありますが、あの道をまた行く気にはなれないな、と言う事で、んじゃぁ熊野岳でも回ってみますかと進路変更であります。
    名号峰から追分に戻り自然園まで、ゆるい登りで楽なはずなんでありますが、足取りは重いんであります。
    いやぁ、久しぶりにちょっとバテたかな・・・理由はなんだ?・・・一昨日のバカ酒か?・・・それだな、と。
    しかも、急速に晴れて頭上に広がった夏空は、参ったと言っている私をジリジリと焼く訳であります。
    お天道様は、私が森林限界を超して隠れるものが無くなるのを見計らっていたように、これでもかぁ、と言う青空を展開した訳でありますが、お陰でバテバテの私は、岩場ガレ場の照り返しを受け、熊野岳までの大した事無い登りにもヒイヒイと喘いで行くのでありました。

     
    このポールは私が高校生の頃にも立っていて冬には良い目印でした

     フラフラしながらもなんとか熊野岳のザレ場に差し掛かると、おお、なんとぉ、コマクサが咲いているではありませんか。
    うひゃぁ、可愛いなぁ、で、写真を撮ろうと構えてみますと、なんだかお花に元気が無いんであります・・・既に盛期を過ぎているのか、と。
    そんな訳で、ちょっとは見栄えの良さ気なのもの、元気の良いコマクサをと探してうろうろし、まあ、完璧では無いけれども枯れていないモノを写真に収めた訳であります。

    いや、腕の問題では無くて、被写体がアレだったもんですから・・・へへへっ

     うーん、コマクサの可憐さに癒されたな、元気が戻ったかな、んじゃぁ、と先を急ぎますと、ナニやら立て看板などが目に入った訳です。
    「立ち入り禁止」・・・へっ?コマクサを撮りにやたらと踏み込むな、と言う事なんだろうなぁ、と解釈した訳でありますが、時既に遅しであります。
    成る程なぁ、あっちから登って来る人は想定していなくて、刈田岳からハイキングして来る人に向けてアピールしている訳なんで、私は対象外であったのだな、と納得であります・・・いや、ホントーに知らなかったし、実際に入るなって言う看板よりも随分手前で撮ったんですから・・・言い訳終わり。

     
    私が来た方向にはなんの標識も規制も無かったんでありますが、熊野岳に向かってはコレです

     まあ、私とても知っていれば、やたらと踏み込むなんて事はしないんでありますが・・・いや、経験則から言ってもコマクサが咲いていたりすれば保護されているんだろうなとは思ったんでありますが、しかし、どこまでの線引きなのかは解りませんので・・・しつこく言い訳しております。
    そんな訳で思いもかけなかったコマクサの群落を見て元気いっぱいになりまして、熊野神社を目指した訳です。
    途中で懐かしい二中の遭難慰霊碑など見まして、相変わらず泊まりたく無いな、と言う感じの避難小屋など見て、さっさとカッだけを目指したのであります。
    なんとなれば、ここまで来ちまうと、刈田岳まで車で来て、そこからスニーカーの観光客や甚だしきはサンダル履きのオババまで現れる訳で、登山靴を履いている私の方が異端児に見えちまう訳です。

     馬の背のザレ場をザクザクと早足で歩きつつ、それでも、何度も撮り飽きる程撮っているお釜もやっばり撮ってみたりしながら刈田岳へ向かったのであります。
    刈田の手前からコンクリート舗装の遊歩道になる頃には、1758メートルの高山に居ながら、登山姿の私だけが浮いていると言う、なんとも不思議な現象になってしまった訳で、こんな恥ずかしい所はさっさと切り抜けなければ、と、信じられない早さで観光客をかき分けで行くのでありました。
    で、刈田岳の避難小屋まで来るとサンダル履きの観光客の一団も来なくなり静かになって一安心でありました。
    この時、一時曇った空がまた晴れまして、前山から杉ヶ峰、屏風と見事に見渡せました、が、カメラを取り出しているうちに隠れてしまいました。

    馬の背から刈田岳を望む・・・車で登れない山なら結構見事な厳しい火山なんですけどね

     刈田岳からは大黒天まで自然遊歩道を行く訳であります。
    ここも階段やら石組みの歩道が整備されているんでありますが、歩く人は稀な様で、できれば取り払って普通の山道に戻して欲しいもんであります。
    どんな人の歩幅を想定して作ったのか、階段状の歩道はとても歩き難く、疲れた足にこたえるんであります。
    それでも、大黒天までは違った確度からお釜を見たり、ロバの耳方向の厳しい岩場を見たり、霧など泣ければ振子沢の滝なども観られるので楽しい訳です。
    しかし、大黒天からは約2キロメートル、エコーラインの車道をひたすら歩かなければならない訳で、本日のコース中最大の欠点であります。
    おりしも霧が深くなり、まさか歩行者が居るとは思っても居ない車が突っ込んで来る訳でして、落石よりも危険なんであります。

     賽の河原到着は16時ちょうどでありまして、本日の歩行距離16キロ、6時間と20分の行程でありました。
    いや、累積標高差もそこそこありまして、合計では1000メートル程度になる模様で、まず、お手軽ではあるけれども、それなりでしたよ、と言う事で・・・。

     おまけ 情報。
    遠刈田温泉の共同浴場をご利用の際には「壽の湯」が空いていてお勧めです。
    「神の湯」が新装なってからは壽の湯はいつも空いています・・・昨日も神の湯の駐車場ほぼ一杯の時に壽の湯、お客二人だけでした。


        この話 完


    場所や時間はかなり適当ですので、ご注意下さい・・・


    ご意見ご感想は 承っておりませんが・・・


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