南風のたよりNo94


    ドゥマゲッティーから、の便り


     ロビンソンでパートは・・・?

     結局、ドゥマゲッティーのロビンソンデパートは完成していない。
    そもそも、昨年突貫工事で建設が進められていたのはロビンソンデパートの本体ではなかったのだ。フィリピンの情報だからね。
    建てられていたのは、コールセンターの建物で、それの完成予定が昨年十一月だったのだ。これは予定通りに建った。
    そして、ロビンソンの工事は今、黙々と行われているが、中は伺い知る事が出来ない。日本同様に、敷地は完全にフェンスで覆われている。

     鶏を絞める。

     ある日、晩飯のおかずが何も無くなってしまった。日本から持ってきた百均の缶詰も食べ切ってしまった。
    昨日から、受精用に大きくしていた雄鶏の様子がおかしいので、死ぬ前に絞めてしまえと言う事になった。これで晩飯の問題が解決した、はずだった。
    雄鶏は立派な羽や尾羽を持っているので大きく見える。しかし、それをむしり取ってしまうと意外と痩せている。
    日本の地鶏の紹介をテレビで見ると、自由に走り回ってほぼ自然に育てています、などと言っている。しかし、それは嘘だろうと私は思う。
    鶏を自由にさせて飼うと、本当に良く動き回る。場合に因っては家の屋根の高さ位は飛び上がる程の運動能力を持っている。
    これくらい飛べる鶏は、絶対に太っては居ない。なので、羽をむしってしまうとほとんど食う所などない事も多い。
    この日の鶏は若い事もあって自由分育っていなかった。なので、スープのダシ以外にはならなかった。
    鶏肉をおいしく食べたいと思ったら、地鶏風は良いけれども、本物の地鶏にしてしまってはいけないようだ。
    と、言う事で、これを教訓に、あまり動き回れないように鶏小屋を作ろうという事になった。でも、面倒くさくて作業は中々進んでいない。

     軽トラの修理と整備。

     軽トラを整備する事になった。ブレーキが効かなくなって、ちょっと危なくなっていたので、修理屋で見てもらう事にした。
    ブレーキは、フロントのパットがすっかり無くなっていた。かろうじて右側が生きていたが、それ一つで車を止めていたようだった。
    リアブレーキのライニングはかけらも残っていなくて、金属がドラムとこすれて光っていた。
    先日マビナイに行った時に山を下ってきた。ブレーキを踏むとすぐに臭くなっていたので何か変だとは思ったが、これほどひどいとは思っていなかった。
    ブレーキパットを左右変えて、リアのブレーキシューも新品に変えた。足りないオイルを補充して完璧、と思ったら、ディックが冴えない声を発した。 ドライブシャフトのクロスジョイントとやらがガタガタだと言う。三年前に取り替えたはずなのだが、と、ディックに言ったら、積み過ぎだと言われた。負荷のかかる営業用のイージーライドは特製のジョイントを使っていて、今、中古の在庫がちょうど在ると彼が言った。工賃込みで二千Pだった。
    営業用のイージーライドは軽トラの荷台を1メートル程、シャーシーごと伸ばしてあるので、シャフトも長い。そして、太さも一回り太い。 長さの合わないシャフトをどうするのかと聞くと、二カ所切断して、一つに溶接し直すのだという。その工賃がマシンショップで三百Pだと言う。
    日本の常識はドゥマゲッティーでは必要なくて、まさかと思うような事を平気でこなしてしまう。だから、この時も何も考えずにディクにお任せした。
    ブレーキの修理に手をつけたのが十時頃だった。昼飯は近くの飯屋で三十Pで食べて、日陰でぼやーっとしていた。修理が終わったのが三時過ぎだった。半日、日陰の椅子に座ってただ道を行き過ぎる人や野良犬やバイクや車を眺めているのも楽しい物だ。
    いつも思う事だが、この修理、日本ならあり得ない方法だろうし、やってもらったとしても、数時間ではやってもらえないだろうな、と思う。
    以後、今の所軽トラはすこぶる快調で、タンクを20本積んでも異音がしなくなった。ブレーキとシャフト一式で四千五百Pは安いと思う。
    そうだっ・・・先月も荷台の溶接やら、シャーシーやらで25000Pも掛けたんだっけ。

     また山へ行った。

     バヤワンから山へ入って、パッツの山の家に一泊した。総勢14〜15名が予定していたツーリングだったが、いざ集合してみると、いつものメンバー以外には誰も来ていなかった。まあ、だいたいいつもこんな感じなので驚かないが、皆、ガソリン代だけで往復500ペソ掛かるので、それが痛いのだと思う。
    ジェフリーとマッツ。マッツの一家から、長男のマタンと次男のケビン、奥さんのジーマが参加した。そして、私と、私の後ろには、またもやエリックが鎮座していた。
    ケビンやジーマはバイクに慣れていなくて、ハイウエイを走っていても冷や冷やする。タイトなカーブにオーバースビードで突っ込んで対向車線を曲がって行く。交通量が少ない分、対向車も油断して飛ばしているので気が気ではなかった。山道ではビビって慎重なのでかえって安心だった。
    パッツの山の家ではヤギを料理した。ヤギの屠殺と処理はいつもと少しやり方が違っていた。絞め方が豚と同じで頸動脈を切って血をボールに集めた。大きかったので血が採れるからだろうと思う。
    絞めてからが面白い。ヤギに熱湯を掛けて毛を落としやすくするのはいつもと同じだったが、その後、ヤギの前足の蹄の少し上にゴム紐を巻く。ゴムひもの下からバレーボールなどの空気入れの針を付けたポンプをセットして、ヤギを風船状態にする。そうするとヤギの毛剃りがスムーズに行くのだそうだ。
    私はヤギの肉は苦手になっていて食べられない事を正直に言った。そうしたら、ジーマが任せておけと言ってブロックになった肉を湯煎して臭みを抜いてくれた。
    ヤギの皮は湯引きした後に火で焙ると香ばしいスルメのようになる。キラウインと言う料理だそうで、ビールのつまみにとても良く合う。
    私でも食べられるキラウインをケビンは食べられないという。これも多少臭うのだ。そうしたらジーマがこれを油で軽く炒めてくれた。これでヤギ独特の乳臭さが抜け、風味はまるっきりスルメになってしまった。ケビンもこれなら食えると言って摘んでいた。
    この日の山の夜はとても寒かった。長袖を重ね着して、毛糸の帽子をかぶって、その上に薄手のブランケットを掛けて寝たが、それでも寒くて寝付きが悪かった。
    この山で見る星はどうして日本で見る星のようにキラキラと瞬かないのだろう。

    バラクーダーを撃ってみた。

     ある日、在る時、在る場所でバラクーダーの群れに出くわした。私は、幸か不幸か、スピアガンを持っていた。
    私はこの少し前にテーブルサイズのハタを1尾仕留めていて、エキジットに近かった事もあって、そのハタをシャフトに刺したままにして泳いでいた。
    群れを見つけた私は、慌ててシャフトからハタを抜き取り、そばに居たノノイに渡して銃をセットした。まだバラクーダーは動いていなかった。
    私は、ほとんど真下まで海底と水平に移動して群れの真ん中に割って入るように作戦を立てて、一息大きく吸った後息を止めて一気にバラクーダーに近づいて一撃を放った。
    この時のバラクーダーはとても大きかった。胴回りが私の太腿と同じくらいの大物の群れだった。それに対して私が持っていた銃は、ナイトでヒメジを刺すのに使う、一番小さい物だった。シャフトは見事にバラクーダーのエラの後ろ付近に命中したが、刺さらなかった。貫通しないまでもブレードまで刺さっていれば引っ張り合いになってナイフでトドメを、と思っていたが、奴にとってはかすり傷程度にしかならなかったようだった。
    発射音で一斉に弾かれたように泳ぎだしたバラクーダーの中で、狙われた奴だけが一瞬こちらを振り返って「なんて事をしやがる」と睨んで行った。
    小型の魚なら目玉の後ろにシャフトが当たると,刺さらなくてもショックで動かなくなるが、あの大きさになるとそれも無いようだ。ノノイに言わせると、刺さらなくてラッキーだったそうで、一撃で仕留めないとバラクーダーは反撃してくるのだと言う・・・本当だろうか?
    そう言えば、たまにスピアガンが話題に上って、魚のどこを打ち抜くかと言う話になるが、理想的に目玉の後ろを射抜ける事はまずない。ドゥマゲッティー1〜2の名手と言われるラモンやダニーでもそんな所を射抜いてくる事はめったに無い。まあ、夜なら別だが。

     ノンエアコン・セレス

     セブに行くのにノンエアコンのセレスバスに乗ってみた。バス停に着いたらセレスの職員が居てエアコンバスは二時間後になると言うので、直ぐにやって来たノンエアコンに乗った。
    窓を全開にして疾走するセレスでは、時折風圧で呼吸困難になる。けっして大げさではない。
    時に寒すぎるエアコンバスよりも、通称ナチュラルファンと言われるノンエアコンの方が快適かも知れない。ただし、左側三人掛け、右側二人掛けの右に座るのがコツかだと思う。

     いやはや、なんとも。

     ドゥマゲッティーのメインストリートが工事中だ。場所は、ロサンティの前の一角だ。これはあまりにもタイミングが良すぎると思うのだが、どうだろう?。
    1月に火事になったロサンティでは、当時から立て替えの為に取り壊すのが面倒だから燃やしたという噂が流れていたが、どうやらそれは本当のようだ。しかも、道路工事の続く半年の間はレストランは営業出来なくなるので、それを見越して計画的に燃やしたとしか思えないタイミングの良さだ。
    まるでロサンティの後片付けが終わるのを待つように、道路工事は始まった。

     もうすぐ統一選挙だ。

     日本では東京都知事の選挙が騒がれているようだが、ドゥマゲッティーでも次の市長選挙に期待が寄せられている。今の市長はドゥマゲッティーをクリーンなイメージで売って行きたくて、ビキニバーの開店を認めていない。そして、スクオッターやバジャウの貧しい層も見えないようにしたいらしく、追い立てが厳しい。どんな市長がドゥマゲッティーにとって良いのか、私は分からないが、回りの男達は今度の選挙で市長が変わる事を期待している。
    そう言えば、二月の末頃にアロヨ大統領がドゥマゲッティーにやって来た。その前夜、街のあちこちで検問が行われ、当日はヘリコプターが警戒に当たっていた。サンタモニカに来たらしいが、私は興味が無いので近づかなかった。
    統一選挙の事前行動の一環なのだろう、色々なところで公共事業が盛んだ。その工事の目立つ所には、必ずアロヨの写真入りの看板が立てられていて、この工事を誘致したのは「私よ」と宣伝しまくっている。大統領から一番したのバランガイキャプテンまで、一気に検挙するのがフィリピン流だ。告示されると街と言わずビーチも山の中も宣伝のポスターだらけになる。

     四月・・・バラクーダーポイント再開。

     昨年秋にいったんクローズされたバラクーダーポイントが四月に正式にポイントとしてオープンする。
    今度は今までのように「保護区への寄付」と言う形ではなく、エントリーフィーが設定されて、レシートが切られる事になった。MDSではポイントの真ん前にボートを二艘据えているので小回りが利く。いつでも直ぐに潜れる体制に在る。四月からはビーチにタンクも用意して、飛び込みで来た客に対応しようと思っている・・・商売になれば良いのだが。

         ではまた。


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