魚取りとバーベキュー
11月某日 日曜日 午後からフィリピンの英雄 Jフェザー級世界チャンピオン パッキャオのタイトルマッチが有るので前日から盛り上がっていた。フィリピン全土で英雄のパッキャオなのだが、ネグロス島では特に人気が高い。その理由は、彼の出身地がネグロス・オキシデンタルのバコロドで、たまにドゥマゲッティーへ来る事もあるからだろう。
そんなパッキャオの試合をじっくり見る為に、酒と魚を準備しておこうと言う事になり、魚取りに行く事になった。場所は、真っ昼間でも何とか魚が取れて、しかも近い所と言う事でマティサンの沖の根と言う事に決まった。
マティサンの根は深い所が45〜50メートルで根のトップが35メートル位のちょっとした丘と言う感じの根だ。ぼこんと突き出た岩の根では無いので大型のハタなどの根魚は居ない。そこは潮の当りが良いのでバギス(テングハギやボウズハギ等)の通り道になっていて海底で静かに魚の通るのを待ち伏せする形で撃つことになる。もっとも深いのでいつまでも待っていられる訳では無く、潜行途中で微かな魚影などを見つけておいて通り道を予想して待つ場所を決める。それでも今時は魚が減ったので中々群れは廻って来ないで時間切れになる事が多い。そんな時には根の頭へ向って泳ぎ、無数に群れているアカモンガラを手づかみで掻き集める。潜った以上は手ぶらでは帰れないのだ。
アカモンガラといっても小さくは無い。カワハギだから肝も美味いし、刺身でも焼いても美味いのでとれるだけ取っても困らない魚だ。私はしばらくバギスを待ったがとうとう廻って来なかった。いつもの事だが、殺気でも出ているのか、私には魚が寄り付かないのだ。減圧の時間と残圧の兼ね合いからそんなに長居は出来ないと思って浮上に掛ったが、ヒョロヒョロと現れたユカタハタが目に付いてまたもや降りて行った。結局私はこの小振りの30センチ程度のハタを一匹刺しただけに終わり慌てて浮上した。浮上の途中でRと合流した。真上でエンジンの音が聴こえて船が来た事が分かった。水深が20メートルくらいになったところで上を見上げると減圧用のタンクがぶら下がっていた。私にはまだ30位のエァーが有ったが、すぐ傍に空気がタップリ有ると思うとやはり心強い。一緒に潜ったBが少し遅れて上がって来て予備のタンクにしがみついた。Bは水中銃にフロートを付けて放した。水中銃には大きなバギスが3匹ぶら下がっていた。私が潜行の時に見つけたバギスの群れはBのところへ廻ったのかも知れない。
3匹取れた大きなバギスはボートマンチームに1匹、BとRの酒盛りに1匹。そして、情けないマングナオの面々の為に1匹と配られた。私は捕れなかったけれども、当初の目的は達せられたので良い事にしましょう。
ジェフリーが奮発して豚肉を買って来た。数日前にお客さんから頂いたチップがポケットに有ったからだと思うのだが、彼は若い者への面倒見がとても良い。時々こういう事をするので人気が有るし、顔も広いのだろう。この他にモンゴス(小豆)やラム酒もジェフリーが買った。
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