南風のたよりNo63


    南の島の話し・・・小さな話題その12


       テレビショッピング

     フィリピンでも女性の興味の多くは、ファッションとスタイル・・・ダイエットです。テレビでは明らかに詐欺と言える程極端に体型が変わった、使用前、使用後の比較写真を提示して購買を煽っています。痩せる下着、痩せるパンスト、それらを着用してテレビに表れる女性は、そんなものを着ていなくても十分にセクシーなスタイルの持ち主です。私がもっとも危惧するところは、この暑い国であんなものを着用して何時間平気でいられるのか、と言う事です。もっともテレビショッピングのCMを見てこれを買うような女性は、お金持ちでしょうから、エアコンの効き過ぎだ家で暇を持て余しているに違い有りませんが。
    この後のテレビショッピングの商材は小型のミシンでした。英語なので意味はところどころしか分らないのですが、小型なので何処へでも持ちはこびができる事がポイントのようです。いったい、ミシンを持ち運びたいと言う人がどれほどいるのか、私には理解出来ない機能性でした。フィルムの出所はアメリカのようです。しかし、馬鹿にしながらこの手のCMをずっと見ていると、買いたくなるから不思議です。ちなみにこのミシンはカラフルな糸が沢山付いて2495ペソでした。ジーンズの4つ折りを楽々縫えるコのミシン、買ってみようかしら?
    この後の商品は、シェイプアップ用の機械で、これまた素晴らしいボディーのモデルが沢山現れています。

     ホーリーウィーク・・・?  

     ホーリーウィークをどう説明すれば良いのか私は分らないのですが、旅行者にはシノログに匹敵する、ある意味それ以上の恐怖の週かもしれません。意味は分りませんが街がどう言う事になるかは良く知っています。
    たとえばドゥマゲッティーでGood Fridayと呼ばれる金曜日には街中の店が閉まってしまいます。スーパーマーケットも、市場も閉まっています。この日はスーパーキャットもオーシャンジェットも運休で移動はセレス・バスしか手段が有りません。しかもセブ市内もほとんどの店は閉店していてホテルのレストランくらいしか食事もできません。
    そう言えば前回ホテルで暇つぶしにPCをいじっていたのはシノログの日でした。今日はGood Fridayと、なんとも大変な時ばかり客待ちの滞在になります。
    今朝早くにブチョックがお客様といっしょにバスでドゥマゲッティーに向かいました。私は今夜到着のお客様を明日、スーパーキャットでドゥマゲッティーに送ります。
    今日の街は一年で一番静かです。外に出ても開いている店が有りません。デパートも、食堂も、高級レストランも、ゴーゴーバーも休みです。朝飯はホテルの安い朝食で済ませたのですが、昼は外の飯屋が閉まっていて困りました。開いているのはフィリピンの習慣に縛られない外資のものです。それは、マックとKFCでした。
    KFCのライスとチキンとスパゲティーにコーラの付いたセットを76ぺソで買いました。部屋に持って帰って開けてみたらライスが入っていませんでした。まあ、Good Fridayだから・・・。
    今日は日曜でも無いのにいろいろなチャンネルで宗教的な番組を流しています。本当にキリスト教が根付いているのだなと思います。

     人のいない街の恐怖

     私が定宿にしているホテルの有る通りはぺライズストリートと言います。セブの中心街です。品の良い方の中心街がオスメニアで、高級指向の街がアヤラだとすると、ここいら一帯は下町の中心街です。
    日本人の旅行者でここら辺りに宿を取る人は、セブには相当慣れている人だと思います。私の滞在するメルセデスホテルはインターネットの検索で探す事ができますし、大手の代理店のネットからも予約が可能なので、見つける人はいるかも知れません。しかしその価格から、普通の人は疑ってしまうと思います。ちなみにネットで990ペソに設定されている部屋は直接予約すれば、シングルなら597ペソ。ツインでのチェックインなら796ペソです。いくら物価の安いフィリピンでもこれは、まともなホテルの最低価格でしよう。
    私はけっこう危険だと言われるこの界隈を夜中にふらふら歩いています。もちろんパラホボック・・・酔っ払いです。しかし一度も危険だと思った事が無く、当然危険な経験もまったく有りません。だからこそ自分のお客様もここのホテルに案内するのですが・・・。
    先程ランチを買いに外に出てみて、あまりの静けさに驚くと共に、無気味な雰囲気と危険な匂いを感じました。普段は真直ぐ歩く事が不可能な通りのずっと向うまで見通せてしまうのですが、その通りの至る所に路上生活者が寝転がっています。普段は夜明けと共にどこかへ消えている存在なのですが、今日は街が休みなので移動していない様子でした。
    彼等は夜になれば戻って来てそこいら上に寝転がっているのですが、普段なら人が多くそれ程目立ちません。しかし、危険を感じたのは路上生者に対してでは無く、純粋な地元住民の視線です。所在なく佇んでいる人たちの視線のほとんどが私を追っているのが分ります。単なる興味本位なのだとは思いますが、気味が悪くなります。その視線の落ち着く先がほとんど、私の肩から下がっている小さなショルダーバックである事にも気が付いて、少し歩みが早くなりました。
    私は完全に日本人だと見られているようで、時々ハポンと言う単語が聞き取れました。いつもフィリピン人に紛れていると分らなくても、ぽつんと1人になるとやはり日本人の匂いがするようです。
    今夜は飲みに出かける場所も無いので、ホテルで食事をして寝てしまうしか無いようですから、来年のGood Fridayまで、危険ともさようなら、でしょう。

       空港とタクシー・・・

     私は6時45分到着予定のフィリピン航空を待っていました。いつもなら空港ビルの出口の直ぐ左側のフェンスの前で待つのですが、この日は通路を挟んで向側の到着待ちのスペースに居ました。いつも通り抜けて通路を超えていたフェンスがしっかりロックされて通れなくなり、しかも警備員と警官が渡ろうとする者のIDをチェックしているのでした。ID等持たない私は当然入る事が出来ません。知り合いの警官に通してくれよと言ってみたのですが、向こう側でIDチェックが有るので追い返されるぞと言われました。見ていると隙を見てすり抜けた人も追い返されているので暫く様子を見る事にしました。
    飛行機が一便到着したようでしたが、この日は香港からのキャセイパシフィックが先だったようで、日本人は僅かしか見られませんでした。客待ちの立場で行くとキャセイの後と言うのは最悪なのです。月水金のフライトだったと思うのですが、キャセイの後だと入国審査が混んで、勝手を知らない、要領の悪い人は一時間近くも掛かってしまうのです。私は当分は無理だなと諦めて他の出迎えを観察していました。
    フィリピン航空が到着して一番最初に出て来るのは、フィリピンになれている旅行者で、しかもビジネスクラスで手荷物だけの人です。その次が飛行機の乗務員の一行です。乗務員の一行が出て来る前に預けた荷物を受け取って出て来る強者を見かける事も有りますが、それもキャセイの到着が有る日は無理なようです。
    セブの空港の出迎えのシステムはしょっちゅう変わります。セキュリティーの関係だと思うのですが、とにかく良く変わります。団体扱いのパック旅行の待つ場所はずっと変わっていないので混乱する事も無いと思いますが、個人でセブに到着して、誰かの出迎えを受けようとする人や、タクシーで移動を考えている人には厄介な事です。
    今年の正月頃、一度客待ちの車をターミナルビル前の空きスペース・・・本来は車の通路に駐車させるようになったのですが、余りの混雑で車が身動き取れなくなり直ぐに廃止になりました。
    この頃、一時見かけなくなったクーポンタクシーが復活して客引きを始め、料金も220ペソから275ペソに値上げされました。
    その少し後で「メータータクシー」と言うプラカードを持った新手のタクシーの客引きが現れ、メータータクシーだから料金明瞭をうたって客を引くようになりました。しかしこのメータータクシーがとんだ食わせ者で、客を乗せて動いてしまえばこっちのものとばかりにメーターを作動させずに、クーポンタクシーよりも高い300ペソを要求して来るのです。私はメーターを動かさなくても170ペソしか払わないぞと言って喧嘩になりましたが、携帯で友人の警官を呼び出し、車のナンバーを告げると大人しくなりましたが。
    セブの空港でタクシーを拾うなら、高いと分っていても、クーポンタクシーが一番安心、無難なようです。
    私のお客さんが来る前に現れた日本人女性の二人連れは、「地球の歩き方」を片手にセブシティーのダウンタウンに行きたいと言って白タクの客引きと交渉していました。料金は700ペソに決まったようでした。しかも彼女らはダウンタウンと言うだけで、どこへ行くと言うあては無く、宿もこれから決めると言っていました。宿の予算は400ペソ前後とか。今日はホーリーウィークのGood Friday、街へ出てもどこもかこも閉まっているし、宿も予算が400ペソでは、とんでもないペンションハウスしか無いでしょう・・・と思って、見兼ねて話し掛けたのですが、彼女らはタクシーの客引きは信用しても、うさん臭い日本人のおやじは信用できなそうな顔だったので、直ぐに引き下がりました。聞いていた話では、その後、マリオットホテルに案内されたようですから、料金は40ドル前後でしょうか?それでも今夜の宿が確保できて良かったな、でありました。
    私の待つお客さんは、本当に最後の方に出て来ました。もうほとんどの出迎えが引き上げ、タクシーも廻って来なくなった頃、ようやく現れたのでした。  

        ではまた。

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