南風のたよりNo38


    南の島の話し・・平成16年の3 


     バジャウ

    日本へ帰るお客様がスーパーキャットを待つのに利用するのが金龍の表のカウンターです。ここで海を見ながらスーパーキャットを待ちます。ダピタンからのスーパーキャットが右手の方から視界に入ってから軽トラを出すと、ちょうど接岸して降りる人の荷物も片付いた頃に桟橋に着きます。
    ビールを片手に海風に吹かれてボーッとしている時のお客様の顔は一様に遠くに目線が泳いでいて、これから帰る日本を思っているのか、去って行くドゥマゲッティーの数日間を思い出しているのかは分かりませんが、ほとんど皆無口です。
    日焼けした肌に少し塩気がしみ込んだ感じが南の島にいた人の匂いを醸し出していて、とても良い男、良い女になって帰って行きます。
    と、静かに感慨に浸っていたりすると、バジャウが現れます。ぼろぼろのTシャツに色の褪めたスカート。ジーンズの多いフィリピンでバジャウはなぜかスカートです。そしてこれもお決まりの赤ん坊を抱いて物乞いをして歩きます。
    バジャウは本来は海漂民と訳されていたのですが今ドゥマゲッティーでは物乞いをバジャウと言います。
    ミンダナオ島のタルクサンガイなどから来ていると言う事ですが本当の所は私には分かりません。
    彼女の腕に抱かれた乳飲み子の瞳に負けて小銭をあげるのは白人だけです。日本人は目線を合わせないようにして無視しています。同じアジアの他の国の人たちは露骨に嫌な顔をして追い払います。
    私は小銭を少し出しますが、一言「昨日の赤ん坊と違うじゃ無いか」と言います。すると彼女の口元が少し緩みます。彼女等が抱いている赤ん坊はほとんどが借り物です。

     ダイビングに行く日

    口コミ集客に頼っているM・D・Sドゥマゲッティーのお客様は顔見知りが多く、日本のダイビングショップやスポットで顔を合わせた事の有る人が多いのです。だから気楽と言ったらお客様に怒られそうですが、実際、見知らぬ飛び込みのお客様に抱く、目一杯やらなくちゃという緊張感は有りません。だから手抜きと言う事では無く、精神的にリラックスさせてもらっている? 私が楽しんでしまっていると言う事でしょうか。
    そんなお客様を迎えて一番頭が痛いのはダイビングのポイント選び・・・ではなくて、弁当のおかずです。
    私も昔はずいぶん色々な所へダイビングに行きました。そしてまずい弁当に辟易した覚えがたくさん有ります。おおきな声では言えませんが、うちのゲストに泊ってもらっているホテル、サンタモニカのパックランチもなかなか結構ムムムムな物であると私は思います。ハンバーガーはけっこい美味いものですが、パックランチはやはりムムムムだと思うのであります。そして結構値段も高い。
    以前と違って何もかも1人でやっていた時には、弁当作りに4時起きしていたのですが、今は手伝ってくれる人がいるのでそんなに早く起きる必要は無くなりました。それでも当日の朝、チャンゲ(市場)に買い物に行くので5時〜5時半にはごそごそと起き出します。
    タンクと機材を準備して、弁当を確認して、マンゴーを持ったかぁーと聞いて・・・あっ、水が無い、買って来い・・・とひと騒ぎしてからホテルに迎えに行きます。
    毎回同じ事の繰り返しなのに、何かを忘れるのが、フィリピン人しかいない当D・Sのいい加減さを物語っています・・・そして、お前が持って来る係りだろう・・・いゃぁー、言われて無いよぉーと、これも毎回のように朝の車の中で繰り返される光景です。
    大抵は早めに気付くのでマラタパイへ向かう途中にバーコン辺りで買うので、お客様には知られていない事なのですが。


    出発前

    けっこうキチンと準備してる?


    何人載るの?

    小さな軽トラは良く働きます


    ダイビングの仕事は楽しい。準備も楽しいし、帰って来てからの機材洗いだって楽しい。機材洗いの時にはスタッフどうしでその日の面白かった事や反省点などを言いながら仕事をする。早く片付けてビールでも飲まなきゃ・・・ってね。

    ではまた。

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