南風のたよりNo106


    ドゥマゲッティーから、の便り


       コーヒー・・・

       フィリピン産コーヒーと言うのはあまり聞いた事が無いし、日本では見かけた事も無い。
    フィリピンのどこにでも有るものかどうかは知らないが、しかし、ドゥマゲッティー界隈では地元産コーヒーは普通にある。
    私が家で飲んでいるコーヒーはイシンさんがバヤワンの自宅の庭に植えている木から採れたもので、豆の収穫から粉に挽くところまで全部彼女の手によるものだ。
    私の勘では、コーヒー豆を挽くのは小麦粉を挽くのと同じ石臼で、だからコーヒーの粉もまるで小麦粉のようにさらさらになっているのだと思う。
    飲み方は他の東南アジアのコーヒーと一緒で、上澄みだけを啜って飲む。
    丁寧にやるときにはガーゼのような布で濾して飲むのだと言われたが、私はまだ丁寧な飲み方には出合っていない。
    大きなマグカップに大さじ3杯ほど、多過ぎかなと思うくらいのコーヒーと、ブラウンシュガーも多めに入れ、熱湯を注いでしばらく待つ。
    注いだ熱湯が丁度飲み頃の温度になる頃には上澄みが出来ている。
    かなり深い煎り具合の豆で、少し焦げ目の臭いがするのだが、味わいはとてもまろやかで日本で飲むレギュラーコーヒーのどれにも似ていない。
    このコーヒーを飲む時には欲張って深追いしては良く無い。
    適当なところで止めておかないと下の方にたまったコーヒー豆の滓が口に入って来るようになる。
    最初の方に口に入って来るものはなんだかナッツ類の欠片のようで悪く無いのだが、それはほんの一口の話で、後は泥かコールタールかと言う感じのものが沈んでいる。
    ドゥマゲッティー産コーヒーを正当な方法で飲んでみて感じた事は、かつてコーヒーは薬であった、と言う事だった。
    まろやかで穏やかな味わいであるのに、一口飲むと脳みそがしゃきっとして身体のだるさも取れたよう無きになるのだ。

       重爆撃機・・・薮蚊

     雨の日がしばらく続いて晴れ間が出ると半端では無い量の蚊が発生する。
    蚊の種類には詳しく無いのでどの種類の蚊がどんな病気を持って来るのか知らないが、どれに喰われてもとにかく痒いので蚊は嫌いだ。
    そりゃそうだわね・・・蚊が好きだって言う人には私の少ない人生の中でも未だに出合っていませんからね。
    私の家はけっこう密閉性は高いし、細かい目の網戸も完備しているし、出入りにも気を使っているので部屋の中に蚊がいる事は稀だ。
    しかし、稀だと思って油断していると、どこからともなく忍び込んでいて、しっかりと喰われてしまう。
    雨上がりに大量発生するのは日本で見かける薮蚊と同じような黒白の斑のもので大きくて強そうな蚊である。
    ドゥマゲッティーでは蚊を寄せつけないようにする時に扇風機を回して置くのだが、大型の薮蚊は飛行能力が高く少々の風ではかいくぐって襲撃して来る。
    で、私の部屋にも2匹の蚊がいるようで無防備な足の指先を喰われてしまった。
    ちょっとの油断で一番嫌な場所を喰われてしまった・・・この場所だけはやられたくないと言う極め付けの場所なのに。

       US NAVY・・・進駐か?

     先日USNAVYの軍艦がドゥマゲッティーに入港して少しの休暇をとった。
    どこでどうしてMDSに回って来たのか知らないが、軍艦の艦長と3名の兵隊がダイビングをしにやってきた。
    私はアメリカ英語は苦手なので敬遠して、なるべく遠巻きにしていたのだが、相手が艦長と名乗ったからにはこちらもボスが相手をするべきだろうと言う事で、引っぱり出されてしまった。
    一言ふた言話をした後に逃げようとしたのだが、上手い切っ掛けが掴めなくて結局は暫く一緒だった。
    しかし、ナンでありますねぇ・・・日本でダイビングのインストラクターなんて言うのは「海の太鼓持ち」程度の価値しか認められていないと思うのですが、アメリカ人にはPADIのインストラクターと言うのは、それなりのものとして受け入れられているようで、ちょっと嬉しかったりもしたのです。
    ブリーフィングをすると必ず大きな声で「イエスッ・サー」と返って来るのは気持ちが良かったです。
    そして、艦長以下全員がMDSで用意するランチは食べない、と言う事で、カロリーメイトのような携帯食と水も自分らが持って来たものしか飲みませんでした。
    これは私の想像ですが、毒でも入れられたら大変なので、艦で出されるもの以外は飲み食いしてはいけない事になっているのでしょう。
    で、ダイビングスタイルは、流石に鍛えられたNAVYで、水着の上にビーシー直と言う出で立ちで寒くも無いと、逆潮もダウンカレントもものともせずに楽しんでおりました。

       不動産ブーム・・・?

     ドゥマゲッティーの街の様変わりのスピードは物凄い。
    日本の高度成長期のように、古い建物を片っ端から壊してビルにしている・・・と、それほどでも無いのだが、しかし、確実に新陳代謝は進んでいる。
    そこで不思議なのだが、誰がこんな資本を持っているんだろう?、と言う事です。
    ネグロス島の経済は、農業と漁業と商業で、工業らしいものはほと無いのです。
    しかも、農・漁業とも自家消費が主で、販売されるものでも地域内の消費で輸出して稼げるものは砂糖とマンゴーくらいのもので多寡が知れています。
    簡単に言うと、花見酒経済のように見えるので、資本が拡大する事は無さそうに思うのですが、どこかで産まれているのでしょうねぇ・・・不思議です。
    で、拡大している価値・資産と言えば、ビーチ沿いの土地の値段やダイビングに使えるような大型のバンカーボートの価格でしょうか?
    ビーチ沿いの土地の値段の値上がりはずっと昔から続いているらしいのですが、ここ数年、ドゥマゲッティー近辺では狂乱の様相ですらあります。
    今ドゥマゲッティー界隈では、少し南へ行った、ダーウィン辺りの開発が進んでいて、坪単価では5年前の4〜5倍になったところも有ります。
    売る人と買う人が納得して買うのでしょうから、幾らになろうともどうでも良いのですが、それで金を握った人が他の土地を買って、また値上がりすると言う、悪循環は、いつかどこかで破たんすると思うのですが・・・ミニリゾート開発熱はまだまだ冷めそうに有りません。
    ちなみに、10年前に200万円で買った500坪くらいの土地と古い建物付きの物件が、現在の売り出し価格は1200万円ですと・・・まあ、2年前よりも円が2割下がっているので、その分を割り引いても高過ぎやしませんか、と思うのですが・・・。
    今ドゥマゲッティーの街なかには、マクドナルドも、シェ−キーズも、Mr.ドーナツやダンキンドーナツやビザハットだってある。
    外国人が異様に多いので成り立つのかも知れないが、それにしても、旧いドゥマゲッティーが好きな私にはムムムッである。
    ちなみに、マクドナルドのチーズバーガーとコーラとポテトのセットは65ぺソ・・・165円くらいだ。
    地元の食堂で12時間労働する娘の日給は180ぺソが相場だ・・・これでも最近上がったのですよ。
    日本が格差社会になっている、なーんて言いますが、ドゥマゲッティー辺りでは、そんな事言っている暇は無い程、現実が差し迫っております・・・。
    と、言いつつ、フィリピン人は誰も本気で格差の心配なんてしてい無さそうで、それも大きな不思議なのですが。

       ではまた。


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