4年たった今でも同じ痛みを感じるたびに彼のことを思い出す。
僕の中で彼は一種の“杭”なのかもしれない。青春という時代の“杭”。
あれは12月の終わりのことだった。二十歳の僕は彼のオフィスの門をくぐった。その日が2度目の訪問だった。前回の子供の遊びのような行為とは比べ物にならないことが今日は行われるはずである。なまじ経験があるだけに不安が心の中を渦巻く。
オフィスに入ると彼はまだ仕事をしていた。少し待たされる。口髭(染めている!これがいい趣味かどうかは分からないが、見た目に気を配る男なことだけは確かだ)のある顔が僕の方を見て目だけで笑う。仕事が一段落したらしく彼が僕に声をかけた。
「そこに寝て」
何も話もせずにいきなりこれだ!これだから中年は嫌なんだ。でもまあ、言われた通りにオフィスの長椅子に横たわる。彼が顔を寄せてきて、その両手が僕の頬を包む。なんだかこれだけでもうドキドキする。彼がテキパキ準備を始める。色々な器具が見える。僕の知らないものもあった。不安が広がる。
…ひょっとしたら彼はサディストだったのかもしれない。僕が痛がるところを知っているくせにわざとそこに触れる。細い金属の棒を僕の急所に当て、ゴルフのパターのようにそれを叩く。カツーンという音が聞こえるようだ。痛みに涙目になっている僕を見て彼は聞く。
「痛いの?」 激痛で返事もできない。そうしていると彼は今度はピンク色のゴム製品を持ってきた。
「もっと開いてくれなきゃ入らないよ」
急いで全身の力を抜こうとしたがそんな手間をかける必要はなかった。彼が無理に押し開いたからだ。彼の指は太い。手全体に熊のように毛が生えている。その指が僕の中に押し入ってきた。そして次にピンクのゴムが入ってくる。初めは柔らかそうに見えたそれは僕の身体の中で硬度を増してくる。身体の内部から何かをえぐり出そうとするように彼は掻き回す。
快感はなかった。痛みに耐えてただやられているだけだった。しかし僕にはどうしてもこの男の相手をしなければならない事情があったのだ。そう、どうしても…。
真実の関西弁バージョンに飛ぶ!(飛ばなくてもオッケーっすよ)