〜敗北から学んだもの〜

 本格的にチームとしての活動を始めた彼らの前に、とあるチームが立ちはだかった。
その名は「ヤンキースワローズ」、略して「ヤンスワ」と呼ばれる奴等である。
 チーム構成はほぼ同年代という事もあり、ライバルとして数試合を戦う事となるが、
戦績を顧みるととても対等に戦えているとは思えないものである。
 偶然の産物とも言える1勝を挟んで全敗、完膚なきまでに叩きのめされた。
相手のエースが素晴らしかった事もあるが、明白な力量差は何と言っても「守備力」である。
打ち取った打球が尽くヒットとなり、エラーとなり、失点を重ね、負け続けていく間に、
自分たちに足りないもの、言い換えると「目標」というものが明確になっていった。
基本的に素人集団であった為、投手力、打撃力に偏りがちだった意識が、
この時期に徐々に「守備力の向上」にシフトしていく事となる。
 そして、現チームの礎となる「地獄のキャンプ」が開催された。
高校3年の夏、巷では受験勉強真っ盛りの中、週3回守備を中心とした練習を行った。
特別な事をする訳ではなく、守備に関する基本的な練習を繰り返すだけの一日。
ノックを受け、取って、投げる。これを半永久的に繰り返した。「足りないもの」を補う為に。
 また、この時期に続々と新メンバーを加える事となる。
野球部経験があり、実戦知識に長けているO-SAKO、陸上部経験に恥じない俊足を誇るISHIDA、
抜群の身体能力を持ち、その後チームの中心となっていくDAIJIRO-、
そして走攻守3拍子揃い、外野陣の纏め役としての重責を担っていくZONO。
 このようにして既存メンバーの技術、及び新メンバーによるチーム全般のレベルアップに成功する。
また、常に9人揃う環境が整い、正式にチームを立ち上げる気運が高まって来たのもこの時期である。
 そして翌年、ユニフォームを作成し、現在に至る野球チーム「インディアンズ」が誕生した。

03.蓄力期