河原屋辻亭(別名:龍門窟)


河原屋辻亭、別名龍門窟の簡単な紹介です。

古来より此岸彼岸のあわいとされてきた地に、百年以上風雪に耐えた農家を借り、1998年忽然として生じた研究施設である。主に理論物理学の独創的研究を目的として、セミナー、会議、研究場所として利用されている。晴れた夜には満天の星をいただき、夏はホタル舞う清浄の地にあり、欧米追従型研究から逃れ、自魂自発的地から生えた研究に専念できるべく、亭内にある全ての時計は停止しており(子の刻)、長期滞在設備も完備している。

 亭が積み重ねた年月が満たす静寂の中で時間は進行しあるいは後退し時に停滞する。その中で行われる議論はしばしば物理学の枠を越え我々の知的かつ痴的営為の全領域におよぶ。滞在者は内とも外ともわかちがたい亭内での一日の長さに驚かされる。ここには日常の時間と異なる時間の流れがある。亭の外に出れば懐かしい山なみが取り囲み、山なみを埋める樹々が満たす空気のうまさとその存在感が堪能できる。山なみのいただきをたどる古道をゆけば、地の魂が語りかける声を聞く事もある。

 時に、亭内外に猪や狸が出没することもあり、しばしば滞在者の脳裏に得がたい、素晴らしいアイデアや妄想を足跡とともに残していく。これを河原屋虚実皮膜の狸だましという。そのアイデア・閃きを基に、さまざまな妄想的独創的研究が頓挫し、あるいは停滞し、あるいは進展してきた。成果は Physical Review, Physical Review Letters, Journal of Physics,  Annals of Physics、物性研究等の物理学専門雑誌に数多く出版されている。そのため、国内外を問わず、遠方からの利用希望者も後を絶たない。

 なお、管理・運営は利用者の自主的行動に任されており、必要に応じて利用料が徴収され、龍門窟の修繕費などに当てられる。その際、物納、役務による寄与が歓迎されることもある。窟周辺のあれ果てた古道を再整備する事も、事業の一環としておこなっている。注目すべきは、あらゆる権威的、公的支援を廃することにより、その独自の機能や研究成果が自発的に生まれていることである。

最後に、この龍門窟の存続はオーナーの辻博士をはじめ近隣の方々の善意に支えられていることを付しておく。

曰く、「災害にあう時節には、災害にあうがよく候、死ぬ時節には、死ぬがよろしく候、是災難をのがるる妙法にて候」(良寛
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