◆昔懐かしの酒のはかり売り◆

 JR中央線八王子駅から歩いて五分ほど。甲州街道に入ったところに「はかり売り」の看板文字が目立つ酒屋がある。約八十uの店内には酒のにおいが漂っている。ヨーロッパから直輸入したウイスキーやスピリッツ(蒸留酒)などの洋酒のほか、オリーブオイルといった調理用油、日本酒や焼酎(しょうちゅう)と品ぞろえは百種類を超える。木樽(きだる)やガラスのビンに入っている。
 このおの名前は「フォム・ファス」。ドイツ語で「樽から」という意味だ。ドイツを本拠地があり、ヨーロッパ各地に約百七十店舗のチェーン展開をしていて、日本では酒販店の「ジャックル浦島屋」がフランチャイズ権を取得、これが一号店となる。
 まず、ほしいお酒の銘柄と量を決める。すべて試飲できる。その後、百五十
種類ある中から好みのビンを選ぶ。自前の容器持ちこみも可能で、その方が歓迎される。最後に店員が目の前で頼んだ酒の量をはかってくれる。
 値段は百mlあたり六十六円から。ビン代も百円からでニ〜三本買っても二千円でおつりがくる。このお店の常連客から店員に転身した大用恵美子さんは「酒好き、ビンが好きなのが高じて働くこととなった。試飲して納得して購入されるので皆さんの幸せな食卓が目に浮かぶ」と笑顔で語る。
 味を確かめ、必要な量だけ、好きな容器で、手ごろな値段でえ酒を飲む。
 かつては日本でもおなじみの光景だった酒のはかり売り。今度は逆輸入という形で新しいスタイルがはじまった。全国でもこのような酒販店が増えれば、環境負荷も軽減されるはずだ。

▲ビンを持参することもできる

(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2001/11/6(火)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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