◆太陽光で電気を賄う寺◆


▲お堂の上は太陽光パネル
 東京都江戸川区の東小松川の住宅街に、一風変わった寺がある。お堂の屋根には太陽光パネルが敷き詰められ、線香のにおいが漂う墓地の入り口には「市民立・江戸川第一発電所」の場違いな門柱が立っている。
 ここ寿光院(大河内秀人住職)では、夜や雨の日以外、寺で必要な電気を太陽光で賄っている。余った電気は東京電力に月平均約七千円で売っている。
 地球温暖化の最大の原因は、この半世紀に四倍にも増えた二酸化炭素の排出だ。日本人一人でネパール人の百倍も出しているともいわれ、温暖化進行に大きく加担している私たちの責任は重い。
 太陽光発電は温暖化ガスや放射性廃棄物を出さないクリーンエネルギーだ。実はこの取り組み、都市部でエネルギーの自給システムを提案する非
営利組織(NPO)「足元から地球温暖化を考え る市民ネット・えどがわ」が企画・運営した。
  設置費用(約五百九十万円)は四割弱を補助金で、四割強を売電と寄付(寄進)、残りを市民型ノンバンクからの融資で賄った。現在、この運動に共鳴してくれる人たちに「グリーン電力証書」(一口千円)を発行、すでに百口以上が売れた。これにより、約十年で完済できる見込みだ。
 大河内住職は「地域のきずながこの発電を支えている。未来を大切にしたい人々が、エネルギー源を選択できるような世の中にしていきたい」と夢を語る。
 身近にエネルギーを自給する装置があれば、未来予想図が描きやすい。第二・第三の発電所の建設が続くことを期待したい。

(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2001/10/30(火)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
▲お役立ち情報バックナンバー
Copyright(C)2001 mypenrai, INC.All Rights Reserved