◆布団から靴下を再生◆

 自治体が集める粗大ごみで一番多いのが布団だ。約四百万世帯を擁する東京二十三区だけでも一年間に四十一万枚も出されている。約十世帯に一枚は捨てられている計算になる。
 実は中古布団の約八割はリサイクルができる良質な資源。しかし、ほとんどの自治体は断裁後、焼却処分にしているのが現状だ。
 布団といえば、昭和三十年代までは綿の打ち直しが当たり前。掛け→敷き→座布団の順に、リフォームを繰り返すことで、十年以上も使える長寿命商品だった。
 昨今は打ち直す家庭は少なくなり、使い捨ての傾向にある。実際全国で打ち直しをする布団専門店はこの十年で約四割も減った。そんな中で、さいたま市の古繊維リサイクル問屋に勤めていた橋本洋一さん(37)は二年間、布団を靴
下などに再生するための商品の企画・開発にあたってきた。
  苦労したのは靴下に使う糸だった。愛知県岡崎市の業者と改良を重ね、ふとん綿五○%と他の繊維を混ぜることにたどりついた。これにより従来の綿製靴下のニ〜三倍の空気保有力を持たせることができた。吸湿・速乾性がよく、保湿機能に優れているのが売りだ。
 ふとん一枚(約五s)から靴下百二十組を作ることができる。価格は一足ニ百〜三百円程度。目下の課題は販路の拡大。橋本さんは独立後も、これに取り組んでいる。リサイクルの輪は再利用してはじめて完結する。ものを手ばなすとき、その代替再生品についてまで、思いをはせる。こんな人が増えると、循環型社会の達成は一気に加速されるはずだ。

▲保温力に優れたリサイクル靴下

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(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2001/10/9(火)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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