◆楽しくエコクッキング◆


▲料理も環境に配慮する時代になった

 「旬の野菜は皮がおいしい。だから丸ごと調理します」。東京・世田谷区内にあるNPO法人(特定非営利法人)「エコひろば」が開いたエコクッキング講習会で講師をつとめる善財裕美さんがこう説明をした。善財さんは設計事務所を経営しながら環境関連のボランティア活動を日課にしている。
 
エコクッキングは食材を無駄にしないで、本来持つ味を引き出し、かつ環境に配慮して調達すること。最近、こうした講習会が各地で開かれるようになった。この日のメニューは雑穀炊き込みご飯。実習は食材調達から始まる。まず旬の野菜を選ぶ。必要以上に買わないし、惣菜は持参した器に入れてもらう。レジ袋ももらわない。

 調理室では、野菜の泥は使い古しの歯ブラシでこすり落とす。ガスの火加減を厳しくチェック。食事の後片付けは古着を小さく裂いた布で食器をぬぐい、水で仕上げ洗いをする。受講生のひとりは「余分なごみを出さない工夫が分かったし、おいしくて楽しかった」と笑顔でこたえていた。
 善財さんは、家庭でもこれらのことを実践し、二つの効果を上げている。一つは家族が料理を楽しみにまっすぐ帰宅する。もう一つはごみの量を一般家庭の約10分の1に減らした点だ。
  「環境をよくすればおいしいご飯にもありつける。エコクッキングはそのための手段。このことに気がつけば誰でもできるはずだ」と善財さんは言う。台所と環境問題は直結している。生ごみが多いと悩む家庭や飲食店がエコクッキングの知恵と工夫を生かさない手はないだろう。

(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2002/1/29(火)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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