十二月一日、東京の六本木に七十人を超える二十代の若者が集まった。くぎを使わない漆仕立ての家具などで知られる江戸指物職人の益田大祐さん(26)らの職人が、品物をつくる際の工夫や持ち味など披露。若者たちはその技に真剣に見入っていた。
このイベントを催したのは「手に職」という団体だ。日本の優れた伝統技術を絶やすことなく、未来にもっと生かしたいと、社会人や学生が集まり昨年、東京渋谷に発足した。
活動は季節によって気軽に楽しむようにしている。例えば春には、手づくり重箱を持っての花見、初夏は八百屋さんに梅干づくりを教わった。体で感じることに力を入れている。会の代表の島村まりもさん(25)は「職人が手がけたものは、使ってみたら心地よかったり、格好よかったり、そういえばエコロジーだったりと、感心する発見が多い」と語る。
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会では着物での初もうでや風呂敷の包み方の講習会なども計画している。夢は日本を職人大国にすることと、でかい。
しかし、島村さんは「私たちがホンモノの日本文化に触れる最後の世代になるかもしれない」と危機感を抱く。私を含め中年以上の世代は、これまでどんな価値感をもって、いったい何をしてきたのか。深く考えさせられた。
自然素材を生かし、無駄がなく、世代を超えて長く使えるものをつくる。伝統工芸の職人たちは、環境の法則に従い、私たちのエコロジカルなくらしを支える技をもっている。昔ながらの文化は循環型社会づくりに欠かせない視点だ。 |