◆森をはぐくむ飲料容器◆


▲間伐材を原料に使用した容器

 国土の約七割を占める森林。自然との共生には間伐をするなど人手をかけて森林資源を守り育てる必要がある。ただ、せっかく間伐しても使い道が見つからないため、そのまま山に放置されるケースも半分くらいあると言われ、多くの山は荒れたままとなっている。
 見放された間伐材の需要創出の切り札として注目したいのが、紙製飲料容器のカートカンだ。印刷メーカーの凸版印刷が開発した円柱形の容器で、原料には国内の間伐材や製材時に焼却されてきた端材や木くずを三割以上使用している。
 紙製容器は中身の劣化を防ぐためアルミコーティングをするものが多いが、これがリサイクルの妨げともなっている。カートカンはアルミの代役にガラス原料成分を蒸着させたフィルムを採用し、飲み終えたら牛乳パックと同じようにトイレットペーパーなどに再生することが出来る。現在ではお茶や健康飲料など約七十種類で年間約一億本が出回っている。

 飲料メーカーのほか、カートカンに関連する企業約三十社は四月に「森を育(はぐく)む紙製飲料容器普及協議会」を結成。容器側面に紙パックのリサイクルマークのほか間伐材マークも入れ始めるなど、国内森林にも優しい飲料容器のPRに努めている。
 お店にあまた並ぶ飲料容器で、どれを選ぶかの基準は味やパッケージが中心となるが、リサイクルや環境といった視点も心がけたい。飲料容器に限らず、日本の森林を意識して商品を選ぶようにすれば、荒れた山が日本から消える日も遠くないはずだ。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/6/26
(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載

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