◆化学物質ゼロの住宅◆


▲土や石など自然素材を巧みに利用している

 壁紙や建材などから揮発性の化学物質が放出されて起こるシックハウス症候群。化学物質過敏症に悩む人だけでなく、子どものいる家庭などでも無関心ではいられないはずだ。こうした化学物質からの不安を取り払ってくれそうなのが建材メーカーの無添加住宅(神戸市)が販売する化学物質ゼロの住宅だ。
 例えば接着剤には動物の度などを煮てつくる「にかわ」や、米からつくる「米のリ」を使用。畳にはダニよけなどの防虫シートを使わず柿渋を塗る。内装材にはヒノキや杉が用いられることが多いが、木のもつ防虫作用が過敏症を引き起こすこともあるため毒性の少ない樺(かば)などを使っている。屋根にはスレートの代わりに石、断熱材にはコルクを炭化させたもの、壁には漆喰(しっくい)など木・土・石をメーンにした天然素材を巧みに利用している。

 同社社長の秋田憲司さんは、もともと植物学者になるのが夢だったという。学生時代から海外を飛び回って独自の研究を重ね、建材に多用される化学物質の代役を世界中の自然素材に求めてきた。この結果、窓のサッシと便器以外はすべて同社のオリジナル建材ばかり。建築費も坪単価が約六十万円と一般並みに抑えている。
 家を解体するときが来ても、化学物質なしの建材ばかりなので地球環境に優しいことはうけあい。自然の特性を十分に引き出し、化学物質による悪影響の心配をなくした無添加住宅を人にも環境にも優しいエコ住宅として支持していきたい。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/6/19
(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載

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