◆ファクスの待機電力カット◆


▲受信・送信時だけ電源が入る

 ファクス機能付きの電話機は、常時受信できるように電気を消費し続けている。ただ平均的な家庭では、待機電力の九九%以上が使い捨てにされているという。まめにコンセントを抜くわけにもいかず、節電には不向きな電化製品と見られがちだ。
 こんな常識を覆したのが電子機器製造などを手がけるケイ・イー・シー(広島県尾道市)。ファクス電話などの通信機器の待機電力を丸ごとカットしてしまう「節電虫」を開発・販売している。
 ファクス本体と電源や回線ジャックの間にこの装置をつなぐだけ。普段は電源が切れている状態で、電話がかかってくると内部の半導体センサーが感知し、起動する。発信時はボタンを押すと電源が入る仕組みだ。

 ファクスの消費電力規模に応じて四機種あり、 一般家庭用のもので九千七百五十円。一般の家庭ならば年間約千円の電気代と約二十二`の二酸化炭素の節約につながるという。
 もともと翻訳の仕事を手がけていた同社の釜本二社長は、ファクスを頻繁に使っていた。しかし待機時間の方が長いことが気になり、自身でこの装置を開発。試作品メーカーに持ち込み、改良を加えて商品化にこぎつけた。
  一般家庭で消費する電力の約一割は待機電力といわれている。家電製品の普及で電力需要が増加する中で無視できない問題だ。釜本社長は次の一手としてリモコン式家電製品の待機電力退治に意欲をみせる。節電虫が待機電力を駆逐するエコ社会の益虫として活躍することを期待したい。

(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/6/5(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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