◆節水効果ある重曹洗剤◆


▲すすぎは一回で済む

 衣類の洗濯が毎日の日課となっている家庭は多いはず。ただ、すすぎ洗いでは繊維についた脂肪酸ナトリウムなどの洗剤を落とすため、洗濯の度に百g前後の水道水を使うことになる。しかも排水には洗剤成分の油分が多く含まれ、環境への負荷も大きい。
 洗浄力を落とさずに排水の汚れを軽減し、しかも節水につながる洗濯洗剤「イオン・パウダーソーダ」を開発・販売しているのが家庭用品メーカーのフリーマム(福岡県大川市)だ。同社では重曹のマイナスイオンが汚れ物質であるプラスイオンを囲み込み、その反発作用で汚れを除去するメカニズムに注目。製造工程の温度設定を上げることで高濃度の重曹をつくりだし、繊維の奥まで行き渡るように油分の粉せっけんを一〇%配合する工夫を加えた。

 油分が一般的な洗濯洗剤の十分の一のため、すすぎが一回で済むほか、排水の汚れも少ない。バクテリアのエサとなる有機分が衣類に付着しないので部屋干ししても洗濯臭が漂わず、洗濯槽の裏に発生する黒カビの心配もない。水と酢を混ぜ合わせてクリーム状にすれば台所などの頑固な汚れ落としにも応用できそうだ。価格は一`入りで千五十円。
 同社社長の青松瑛子さんは元専業主婦。子どもの肌にも環境にもよい洗剤を探し求めてきたものの、不満を感じてきたという。四人の子どもたちが巣立ったのを機に「自分が納得のいくものを」と実験を重ね、重曹と粉せっけんだけの洗剤を生みだした。主婦の視点でつくられたエコ洗剤で環境もきれいに洗い上げていきたいものだ。

(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/5/15(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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