◆フンから環境保護学ぶ◆


▲学校菜園で収穫した野菜を動物に与える

 休日ともなると家族連れでにぎわう動物園。しかし国際自然保護連合(IUCN)によれば、世界中の野生動物の約五千四百種が絶滅の危機に瀕(ひん)している。人間が引き起こす環境破壊が原因だが、そのツケは人類にもふりかかってくることを私たちは覚悟しなくてはならない。
 環境保護の大切さまで学んでもらおうとユニークな取り組みを実施しているのが五年前にオープンした、いしかわ動物園(石川県辰口町)。同園では動物の糞(ふん)
やエサの食べ残しを園内の処理施設で約三カ月かけてたい肥化。近隣の農家に配り、草食動物のエサとなる青草を育ててもらっている。

 

  また地元の小学校の児童には処理施設見学のほか、この肥料を使って学校菜園でサツマイモやカボチャなどを育ててもらい、収穫した野菜を直接手渡しで動物に与えるというプログラムも実施している。子どもたちにとって排せつ物は水で流すのが当たり前。しかし糞は動物のエサに生まれ変わり、生態系の循環に重要な役割を果たしていることを実感できるというわけだ。
 同園ではカバ用のプールに雨水を利用したりオフィスでは省エネを徹底するなど運営面でも環境に配慮。来園者にもごみの持ち帰りを呼びかけ、環境意識を高めることに努めている。おいしい野菜づくりにはよい上づくりが肝心なのと同様、よい環境をつくるにはまず意識をもった人を育てることだ。エコ動物園とともに自然を大事にする子どもが増えてくれることを願っている。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/4/24(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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