◆そよ風で発電する装置◆


▲垂直翼が風を受け止める

  暮らしの中で使うエネルギーの浪費は、発電所などでの余計な二酸化炭素排出につながる。省エネの努力次第では環境への負荷も減らせるが、二酸化炭素を出さぬクリーンエネルギーとして注目されているのが大陽光や風力。天候に左右されたり蓄電量が限られたりするため家庭で使うエネルギー全量をまかなうことは難しいが、導入する価値は十分だ。
  風力発電の場合、設置エリアは海沿いや山間部など強風が吹き付けるところに限定される。内陸部や市街地には不向きとされていたが、電機メーカーの神鋼電機(東京。江東)では微風でも発電でき一る小型風力発電装置「そよ風くん」を開発し、販売を始めた。

  市街地の風は平均風速が三―四bで、風向きが刻々変化する。同社では気まぐれな風向きにも対応できるよう、垂直に立てた羽根がくるくる回る構造を採用。木の枝が揺れるとされる風速二bから発電を開始する。風を受け流しながら羽根を回していくので騒音の心配もない。
  専用のコンセント口が二つあり、付属のバッテリーにフル充電すれば三百hまでの電気製品が三時間連続使用できる。設置には風当たりのよい半径約四b以上の平面スペースが必要。出力規模により三種類あるが、中規模のタイプは能力が七百六十h時で八十一万九千円(設置費別)。
  決して安くないのがネックだが、自然のエネルギーを巧みに利用する装置が身近にあれば、省エネ意識も余計に高まるはず。装置を取り入れたとしても省エネ行動の手綱は緩めたくないものだ。

(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/4/17(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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