◆間伐材とガラスで食器◆


▲液体ガラスをしみ込ませて仕上ザた

  いたずら盛りの幼児や子どものいる家庭では、割れやすい陶器の食器より軽くて丈夫なプラスチック製の方が何かと便利だ。しかし一部のプラスチック容器の中には環境ホルモン溶出による人体への悪影響が指摘されているものもある。ガラス食器なら害もなく理想的だが、割れやすい難点がある。
  木材を有効利用しながらガラスの良さも取り入れた食器を開発したのが林業を手がける津田瑞苑(奈良県榛原町)。自社が保有する五十秒の山林を管理するために切り出すヒノキや杉の間伐材に、液体ガラスをしみ込ませた食器「ガラスウッド」を主にインターネットで販売している。

  間伐材を数年寝かせ、食器に成形して表面を研ぎあげ、特殊なコー卜剤で仕上げている。このコート剤は塗料メーカーに委託して開発したもので、溶剤などを使用せず無色透明なのが特徴。木の繊維にガラス成分のケイ素がなじむことで、木の収縮を抑えることができる。茶わんやコップなど全部で九アイテムがあり、価格は千三百六十円から。
  枝打ちや間伐などの手入れを怠れば山林は荒れ、自然破壊の引き金にもなりかねない。同社でも伐採した木に価値がなかったために山に放置することが多かったという。しかし間伐材を「ガラスウッド」に使うことで、こうした課題も解決した。同じ手法でホワイトボードも商品化するなど、間伐材利用の幅は広がっている。間伐材の有効利用が人だけでなく、山の健康管理にも役立っているのは間違いないようだ。アドレスはhttp://www.tsudazuien.co.jp/


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/4/3(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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