◆焼酎かすから健康飲料◆


▲米麹を加え飲みやすくした

  ここ数年、人気上昇中の本格焼酎。一方で製造段階で生じる焼酎かす(もろみ)は焼酎本体の一・三倍にも及び、不要物として多くが海洋投棄されている。しかし局所的な海洋汚染の原因にもなるため数年のうちに投棄を禁止する動きもあり、焼酎かすの新たな処分法の確立が急務となっている。
 実は廃棄されている焼酎かすにはミネラルやビタミンなど体に長い成分が多く含まれている。多くの焼酎メーカーでは家畜飼料に使ってもらう取り組みを進めているが、田苑酒造(鹿児島県樋脇町)では飼料化に加え、この栄養分を健康飲料に有効利用する試みを始めた。

   昨年十月発売の「もろみ酢」は、すっきりした飲み口でそのまま飲めるのが特徴。芋焼酎のかすには疲労回復に効果があるといわれるクエン酸や抗酸化作用のある成分が豊富だが、そのままでは食酢同様、酸味が強く飲みづらい。同社では甘い果汁でなくあえて米麹(こうじ)を加えることできつい酸味を抑えながら麹のもつ甘みを引き出す製法を開発し、商品化にこぎつけた。
 売れ行きは好調で同社は初年度の生産計画を一万本から五万本に引き上げたほどだ。七百二十_gで二千五百円。酢の物やサラダに使ってもいい。焼酎かすの効果をさらに研究すれば、新たな活用方法の広がりにも期待がもてそうだ。
 惜しむらくはリターナブルびん入りでないこと。容器にも環境面での配慮がすすめば、究極のエコドリンクとしてさらに注目度は高まりそうだ。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/3/13(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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