◆トイレに流す水を省こう◆


▲においのもとであるアンモニアを抑える

 水洗トイレを使っていると、水がもったいないと感じることがある。男性の場合、小用で便器の前に立つと、「そんなに汚れていないのに大量の水を流してしまった」と申し訳ない気持ちになることもしばしばだ。最近は自動的に洗浄するタイプの公衆便所も増一え、節水意識を行動に反映させにくくなっている。
 もちろん悪臭漂うトイレは敬遠したいもの。水を無駄にせず便器を清潔に保つ知恵はないものかーー。こんな思いに応えるのが、企業向け省エネルギーサービスを手掛ける省電舎(東京・港)が販売する米国製の小便器だ。

 水の代わりに、アルコールを主成分にした専用の液体を使う。尿が便器に流れ込むと、水より比重が小さいこの液体が尿の表面を覆ってしまう。悪臭の原因となるアンモニアが、尿から外気に発散しないようふたの役目を果たす仕組みだ◇尿を大量の水で洗い流さなくても、においで悩まされる心配はぐっと減る。
 専用液はカートリッジに入っており、平均七千回程度は繰り返し使用できるという。海外では高速道路沿いの公衆便所などとして広く活用されている。国内でも、九州のいくつかの公共施設で導入済みで、今後も急速に普及が期待できそうだ。
 トイレで水を流すのは、下水道が普及した地域に住む人にとっては当たり前のマナーだろう。しかし、これからは、使った後は水を無駄にしない――。毎日お世話になる場所だからこそ、環境へのちょっとした配慮が大きな効果につながりそうだ。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/2/28(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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