◆2度おいしいてんぷら油◆


▲全国から廃食油が集まってくる

 てんぷらやフライなど揚げ物に欠かせない食用油は、繰り返し使えるとはいえ酸化したら味も悪くなって寿命を迎える。そのまま排水口に流すのはもってのほかだが、新聞紙に吸い込ませたり、薬剤で固めて捨てたりするのは面倒なことも確かだ。
 家庭で処理に因った食用油を引き取り、金券として使えるチケットと引き換えるサービスを始めたのが、廃食油リサイクルを手掛けるユーズ(東京・墨田)。使用済みの容器に油を詰めて送る。十回送ると、千六百七十円分のチケット「ユーズ」が返送されてくる。

 ユーズは同社が経営する古本屋のほか、契約を結んでいる墨田区内のすし店でそのまま金券として利用できる。廃食油からつくった軽油代替燃料にも引き換えてくれる。さらに、同社が福島県只見町に所有する山林一坪分をもらうこともできるという。
 これまで同社は、てんぷら店など飲食店から出る廃食油を回収してリサイクルする事業を進めてきたが、家庭を一軒一軒回って油を回収するのは、コスト的にも困難だった。送料を各家庭に負担してもらってリサイクルの輪を広げるため、特典付きサービスを展開することにした。今では全国約二千世帯から、役目を終えた油が送られてくるようになった。
 廃食油は精製するとディーゼルエンジンを動かす燃料として使えるほか、せっけんとしてリサイクルすることもできる。容器に詰める少しの手間で、捨てることなく新しい命を吹き込む取り組みだ。しかもちょっとお得となれば、乗ってみる気になる。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/2/21(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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