◆実用性ある再生蛍光灯◆


▲リサイクルの仕組み整備が急務

  電球に比べて寿命が長く、消費電力も小さい蛍光灯は、エコロジー社会の照明に欠くことができないアイテムだ。しかし、いくら優等生でも永久に使うことができるわけではなく、役目を終えた後のことも気にかけておくべきだ。
 蛍光灯のリサイクルを手掛けるジェイ・リライツ(北九州市)では、使用済みの電灯を資源化して新しい蛍光灯に生まれ変わらせる事業を展開している。金属の端子とガラスの部分を切り離し、内部に封入された粉状の蛍光体を取り出す。新しい蛍光体と混ぜてそのまま利用。ガラス部分は溶解処理して再生ガラスの素材となり、新しい蛍光灯の一部となる。

 蛍光灯の中には人体に有害な水銀もわずかながら含まれており、同社ではこれもリサイクル蛍光灯の原料として利用する予定。リサイクル素材を使った蛍光灯は、明るさも価格も一般の製品とほとんど変わらず、実用性は十分だ。
 しかし、使用済み蛍光灯のリサイクルは、思うように進んでいないのが現状だ。多くの自治体で不燃ごみ扱いされており、水銀が環境に与える影響もあまり考慮されないまま、埋め立て地に直行。 一部で建材などに再利用されるケースはあるものの、蛍光灯が再生されていること自体、ほとんど認知されていないのが現状だ。
 
確かに割れやすい蛍光灯のリサイクルには、手間もコストもかかる。だからといって簡単にゴミにしてしまえば、そのツケは必ず回ってくる。新しい技術を生かせる環境づくりには、今受け入れなければならない負担から逃げない姿勢が必要だろう。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/1/31(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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