◆古メガネ、海外で生かす◆


▲タイの人に鮮やかな視界をプレゼント

  国内では約六千万人がメガネのお世話になっているとされる。度数を調整するため、レンズの交換は避けられないが、フレームごと新しいメガネを買い替えるのが一般的だ。ファッションの一部として、新しいデザインのメガネでイメージチェンジを図ろうという向きも多いだろう。しかし、まだまだ使うことができるフレームを捨ててしまうのはもったいないという気がする。
 全国のメガネ店十数社が組織する特定非営利活動法人(NPO法人)「日本―タイ王国・メガネボランティアグループ」(鳥取県倉吉市)では、こうした国内で使われなくなったメガネのフレームを集めて、タイの市民向けに無償配布する取り組みを五年間続けている。使われなくなったフレームのゆがみを修正してさびや汚れを落とし、鼻に触れるパッドを交幾して新しいレンズをはめ込み、タイに持ち込む。

 バンコク市内の僧侶やボランティアの協力も得て、メガネを使いたい市民の視力検査を実施。 一人ひとりに合ったメガネを配る。これまでに配られたメガネは約一万五千本に上る。タイでは、自分の視力に合ったメガネを作るにはかなり高額な料金がかかるため、使うことができないまま、 一生を終える人も少なくなかったという。
 このリサイクルメガネをかけ、これまで見えなかったものがはっきり見えるようになる人がいるのはすてきなことだ。メガネを使い捨てにするというあまり好ましくない日本の風潮を逆手にとり、世界規模でリサイクルを考え直すきっかけになればと思う。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2004/1/24(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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