日本文化の象徴として、国外から注目を集める着物だが、肝心の日本での人気の盛り上がりはいまひとつ。正月ぐらいはと思い立っても、わずかしか着る機会のない高価な着物を買うことをためらってしまう。最近はレンタルも普及しているが、自前の着物をびしっと着こなしたいと考える人も多いだろう。
呉服問屋の東京山喜(東京・中央)では四年前から、着物リサイクルショップ「たんす屋」を展開している。押し入れに収納されたままで、引っ越しなどを機に処分されそうになった着物を各家庭から買い取る。汚れを落とすなどの手入れを施した上で全国六十八店で販売する仕組みだ。草履や小物なども含め、計十八万点のアイテムをそろえた。
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柄などは最近のトレンドからはちょっと外れているかもしれないが、飽きのこないデザインは長く着続けるにはもってこい。しかも細い絹糸を丁寧な手織りで仕上げた高品質の着物が多く、快適な着心地を割安で楽しめるのは古着ならではの魅力だ。昭和初期以前のものなら、アンティーク的な楽しみ方ができるという。
もともと着物は耐久性が高く、適当な湿度など保存状態さえ気を付ければ、何年でも着続けることができる。しかし、実際に着用する機会が減るにつけ、「たんすの肥やし」として不遇をかこつケースが多かった。
流行を追わない着物の良さに触れながら、自分だけの一着を見つける――。着物のリサイクルは、日本の伝統を見つめ直すチャンスにもなりそうだ。
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