◆ 生ごみから生まれる卵◆


▲元気なニワトリからおいしい卵が

 家庭からでるごみの多くを占めるのが、野菜くずや残飯などの生ごみ。自治体などのごみ回収に出せば、焼却場で灰になって埋め立てられるだけだ。しかし、食べられないのは仕方がないにしても、貴重な資源であることに違いはない。無駄にせず有効活用する手はないものか。
 こんな思いから、生ごみが卵になって戻ってくる画期的なリサイクルシステムをつくり上げたのが、特定非営利活動法人(NPO法人)の「柏・にわとりの会」(千葉県柏市)だ。家庭から出る生ごみを集めたえさで、ニワトリを育て卵を生産している。
 市内十一カ所に専用の回収容器を設置した。周辺の百五十世帯ほどが生ごみを入れる。その量は毎日合わせて五十―六十`にも上る。回収された生ごみに不足する栄養分を補うカキ殻などを混ぜてニワトリのえさにする。とれた卵は十個四百円で販売している。

 良質のえさを食べて卵を産んでもらうため、たばこの吸い殻やビニール類は入れないのがルール。ごみの分別は手間がかかることからいいかげんになるケースも少なくないが、ここでは卵で一戻ってくるという意識からか、きちんとルールが守られているという。生ごみのえさの中でも、コンニャクや天かすが好物だという意外な発見があるのも面白い。
 捨てるしかなかった残飯が、食べられるものに変身する――。資源循環の当然の帰結といえば少々難しいが、全体像が把握しやすいこうした取り組みは、リサイクルのだいご味や意義を多くの人に理解してもらうきっかけになる。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/12/6(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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