◆リサイクル切符で消臭◆


▲におい成分を吸着する効果が高い

  電車に乗るのに必要なきっぷ。最近では何度も利用できるプリペイド式のカードなどが広まってきたものの、いまだ主流は一回限りしか使えない紙製だ。全国で年間約八十八億枚のきっぷが発行されており、使用後はほとんどが焼却処分されるという。一枚一枚は小さいにせよ、ちりも積もれば山となるという言葉もある。何げなく手にする紙切れからでも、原料となる木材を無駄にすることなく、森林を守るためにすべきことを考えてみたい。
 一枚のきっぷさえ無駄にしないという発想に学ぶべきところが多いのが、紙製品メーカーの鈴木松風堂(京都市)が販売する「切符炭」。使用済みの切符を鉄道会社から集め、専用の窯でじっくり蒸し焼きにする。磁気データを記録するため裏面に塗られた酸化鉄などはそのままに、紙の部分だけがきっぷの形をとどめながら黒い炭に変身する。
 普通の炭と同様、冷蔵庫の脱臭剤などとして利用する。きっぷに使う紙は繊維の向きがそろっていないので、木炭よりにおいの原因物質を効果的に吸着することができる。さらに一枚一枚の炭が薄いので、空気に接する面積が大きくなり、脱臭剤としてはまさにうってつけの炭だ。使えなくなったら花壇の上に混ぜればOKという。きっぷ約六十枚分の炭を一セットにし、価格は六百円。
焼却してしまえば使い道のない灰にしかならない切符も、工夫すればきちんとリサイクルできる。小さい事だとばかにせず、できるところから無駄を省いたエコライフを心がけたいものだ。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/11/22(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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