◆昔流の燃焼カイロ◆


▲わずかな灰しか残らない

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 そろそろ冬支度のことが気になりだした。寒ければ分厚いコートを羽織ったり重ね着をしたりと、あの手この手を繰り出さなくてはならないが、手軽に暖をとるのに心強い味方が使い捨てカイロだ。実に国内だけでも年間十五億個も売れているというから、その普及ぶりには驚かされる。
 しかし問題は使った後の冷えて固まったごみ。 一つ一つは小さくても、文字通り「ちりも積もれば山となる」では困る。そこでお勧めなのが、日用品メーカー楠灰製造(大阪市)が製造・販売する燃焼式カイロ「ポケットハンドウォーマー」だ。
 燃やすのは木炭の粉を練って棒状に固めた燃料棒。ライターなどで着火、アルミ製ケースに入れる。熱すぎないよう布袋に包めば、七、八時間は温かさが持続する。残されるのは、吹けば飛ぶようなわずかばかりの灰のみだ。本体の価格は千円。

 鉄粉や活性炭などを詰め込んだ使い捨てカイロは、そのまま不燃ごみなどとして埋め立て処分されるが、その量は一冬だけでも約十万dに及ぶという。利便性を享受するその裏側で起きている環境問題を見過ごすことはできない。もしも使い捨てカイロが、すべて燃焼式カイロにとって代わられたとしたら、百年ぐらい使い続けても、まだ使い捨てカイロ一年分のごみも出さない計算になる。
 もっともこの商品、現在はカナダなどへの輸出向けが中心で、国内市場では少々苦戦を強いられている。昔ながらのカイロの利点を見直し、心の中まで温かい冬にしたいものだ。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/11/15(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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