◆小さな袋でごみ問題実感◆


▲3gの袋は想像以上に小さい

 日々の暮らしで出されるごみが最後に行き着く先は埋め立て処分場。燃やしたり破砕したりして手を尽くして減量しても、処分場の容量には限界があり、いずれは満杯になる。環境省によると、全国の埋め立て地の余命はあと十数年しか残っていない計算だ。ごみ削減への努力を怠るような余裕は残されていない。
 こうした危機的状況を住民に理解してもらおうと、東京都武蔵野市では十月から、埋め立て地をしばらく使い続けることができる量のごみしか入らない「これしか出せないの!?ごみ袋」を全世帯に配布している。
 一人あたり一日三g、レジ袋などより小さな袋は、生ごみや粗大ごみまで、日常生活で出るごみを全部詰め込むにはあまりにも頼りない。

 同市は周辺三十五市町とともに共同の埋め立て地を利用しているが、人口などで割り当てられた搬入量をオーバーしてごみを運び込んでしまっている。搬入量を守ろうとすると、 一人あたり配布した小さな袋に収まる程度のごみしか出せないのだ。
 あくまで啓発用で、この袋の利用を強制するようなものではない。市民からは「ごみが入りきらない」という反発が寄せられた半面、「近所に住む家族にもぜひ体験させたい」と袋の追加を求める声もあった。
 ごみをまったく出さない生活は理想でしかないにせよ、まずは減らすための取り組みが不可欠。たった三gの袋からでも、地球を守るヒントを学び取ることができるはずだ。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/11/1(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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