通勤や通学、買い物などに便利な自転車は、排ガスを出さない環境にやさしい乗り物の代表選手。しかし、駅前などに放置される自転車は、通行の妨げになり、全国の自治体が撤去する自転車は年間約ニ百六十万台に上る。しかもそのうち四割は持ち主が現れず廃棄処分されるのが現状だ。一万円も出せば新車に手が届くご時世、高い撤去費用を支払ってまで引き取る気にならないというのもわからないではない。
しかし、いくら環境優等生の自転車でも、使い捨て商品になってしまっては本末転倒もいいところ。そこで‐特定非営利活動法人(NPO法人)の青少年ネット21(千葉県市川市)は、廃棄される予定の放置自転車をもらい受け、地域住民で交互に利用する取り組みをスタートさせた。
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市川市内の三つの駅前や公園など四十カ所に、計六百台弱の自転車を配備した。だれでも無料で目的地まで乗ることができ、使った後は乗り捨てOK。カギはかかり
ていないので、街角で見かけたらそのまま使うことができる手軽さだ。私物化などマナー違反を防ごうと、地元の小学生にペンキを塗ってもらい日立つようにした。
利用者の中には、この自転車をあてにして、自分で所有するのをやめた人も。もちろん愛着のある一台を大事に使うのはすぱらしいことだが、思い入れがあまりない向きには、みんなで使うという利用法も合理的だ。しかも放置自転車を減らす効果もある。「使い捨て」ならぬ「乗り捨て」は、環境にやさしい自転車をさらに引き立ててくれるに違いない。 |