◆間伐材を不燃建材に◆


▲間伐材も付加価値を高め建材に

 国内の森林資源が危機に直面している。輸入される安い木材におされて、全体の四割を占めるスギやヒノキの人工林に管理の目が十分行き届かなくなっているのだ。木々を間引いて森を育てる間伐もままならず、荒れ放題の山はしばしぱ予期せぬ水害を招く。せめて間引いてしまった木を有効活用する手立てがあれば、内外価格差を縮めて森林保護に弾みを付けられるのだが。
 こんな思いを抱いた建材メーカーのアサノ不燃木材(福井県丸岡町)は、間伐材を不燃処理して建材としての用途を広げる取り組みを進めている。火災に弱いという木材の致命的な弱点を解消、これまでコンクリートや金属しか使えなかったところで間伐材を利用できるようにした。
 ガラスの原料でもあるホウ酸などを木材にしみ込ませ、燃えないようにした。ガスバーナーの炎をあてれば黒く炭化するものの、木材そのものが炎を上げることばないという。
 間伐材は成長途中で切り出されるので、家の柱など大きな部位には利用しにくい。さらに輸入木材に比ベてもコスト高で、建材に使われるケースは多くなかった。同社の技術によって「燃えない」付加価値を持つことで、間伐材が活躍する機会は増えそうだ。
 とはいえ、間伐材のほぽ半分が手付かずで放置されている現実からすれば、荒廃が進む森林の救世主役をすべて押しつけるには少々荷が重そうだ。まずは燃えない木材の登場が、森林保護ヘの関心を高める火付け役になってほしいと心から願う。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/9/20(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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