◆繰り返し使うOA用紙◆


▲印刷したり消したりできる

 パソコンなどOA機器の普及で、紙は使われなくなっているのかと思いきや、日本製紙連合会によると、コピー用紙などの生産量は年間三千万ントに達し、ここ十年で約八%も増えている。内容を十分に確かめもせず、とりあえず何でも印刷してしまう姿勢が、使用量をかさ上げしているのではないか。むろん貴重な森林資源のことを考えれば、地球環境に良い影響を及ぼすわけはない。
 試し刷りにはミスプリントした紙の裏を使うなどの工夫が不可欠だが、何度も印刷したり消したりして繰り返し使用できるOA用紙があれば、無駄な紙の消費を威らすにはより効果的――。そんなことを考えていたら、凸版印刷などが開発した「リライタブルペーパー」を発見した。専用プリンターと組み合わせ、書いたり消したりできる″魔法の紙″だ 。
 この紙は、白色のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂に特殊な塗料をコーティング。ファクスなどで広く使われている感熱式の原理で、プリンターで百数十度の熱を加えて、文字などをプリントする。
 読み終わったら再びプリンターに通し、印字のときより少し低い温度に加熱すると、青く印字した文字が元に戻り、書き込んだ内容がきれいさっぱり消えてしまう仕組みだ。約千回は繰り返して使用できるという。
 理想といえば、間違いを事前に一〇〇%チェックできれば、とりあえずの試し刷りは不要になる。しかし人間である以上、ミスから逃れることはできない。不完全な私たちの欠点をカバーしてくれる頼もしい味方の登場で、OA社会の明るい未来像を描くことができそうだ 。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/6/7(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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