◆布団の打ち直し復活◆


▲くたびれた布団も見事に再生

 引っ越しなどで、新しい住まいで暮らし始めると、気分一新とばかりに新しい布団が欲しくなる人も少なくない。使い古した布団は粗大ごみとして処分されることになるが、東京二十三区内では年間四十八万枚もの布団がごみになっているという。気持ちよく新生活をスタートさせたい気持ちはわからないでもないが、環境に悪影響を及ぼすとなると後ろめたさも感じてしまう。
 かつては打ち直して長く使い続けるのが当たり前だったが、安価な布団が使い捨てされるようになり、打ち直しを依頼する人もめっきり減ってしまった。こんな現実に「NO」を宣言したのが、綿だけでなく化繊、羊毛の布団でも打ち直しの受け付けを始めた親松寝具店(東京・江東)だ。

 体の重みなどでつぶれて硬くなった布団の中身をほぐし、好みの柔らかさや軽さに調整して仕立て直す。長く使い続けることに抵抗感を持つ人のため、オゾンを吹き付けて脱臭・滅菌加工も施して快適に使えるようにした。
 加工料は一枚八千円から。 一万円もあれば上下三枚組みの新品が買えるご時世では、確かに二の足を踏んでしまいそうな価格設定だ。しかし、愛着のある布団を使い続ける楽しみと、オーダーメード感覚で好みの寝心地を得られる利点を考えれば、決して損な買い物ではないはずだ。
 毎日お世話になる布団だからこそ、長い付き合いをしてほしい。清潔感にこだわるなら、布団を新調するより、こまめに干すなど日々の手入れを怠らないことが肝心であることをお忘れなく。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/5/24(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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