◆理想の生ごみ処理法 ◆


▲生ごみそのものを少しでも減らしたい

 家庭から出される可燃ごみの半分は生ごみだ。すべてたい肥にして処理できれば理想的だが、十分なスペースもとれない都市の住宅事情を考えれば、実現への道は遠そうだ。まずはごみを燃やして環境にダメージを与えている事実に目を背けないようにしたい。
 神奈川県横須賀市は一月から、生ごみを焼却せずに燃料化、ごみ収集車の運行に利用する実験を開始した。増え続ける生ごみに今後どのような対策が有効なのかを探る試みの一つとして興味深い。
 収集した可燃ごみから毎日二dをこのプラントに回す。大きなふるいにかけたり、風を当てたりして布きれや紙くずを取り除き、残った食物などの生ごみを容器に入れて発酵させる。発生したメタンガスを主成分に、ごみ収集車用の燃料にする。生ごみ一dから、収集車一台が百`b弱動く燃料ができるという。これまで燃やすしかなかった生ごみに、有効活用の可能性が広がってきたのは、大きな成果だといえる。
 しかし、このアイデアが育てば育つほど、生ごみの量自体を少なくしようという意識が薄れる懸念もあるのではないか。可燃ごみの中から生ごみを分別する手間もかからなければ、大量に生ごみを出し続けるライフスタイルを見直す必然性は遠のくからだ。
 冷蔵庫に詰め込んだ食べ物を忘れて腐らせたり、大量の残飯を平気で捨てたり――。地球に優しいとされるメタンガスで走るごみ収集車を見かけたら、自分の日常生活に反省すべき点がないか振り返るようになればこそ、このアイデアは生きてくる。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/5/17土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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