食品の安全性への関心が高まる中、どのような添加物が使われているかにも注意を払いたい。調理して口にするまでの短い時間だけで十分と考えれば、強力な化学保存料は不要なケースも多々ある。品質保持を重視して使用した保存料が、仮に後々悪影響を及ぼすことが発覚しでもすれば、本末転倒もいいところだ。
こんな心配を解消するのが、食品添加物メーカーのフードテックス(大阪府吹田市)が販売する食品用抗菌剤「タケガード」。国内に広く自生する竹の抗菌作用に着目、表皮をアルコールに浸して抽出した成分を主原料にした。
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スプレー式で食品やまな板、包丁などにさっと吹き付けるだけ。約十秒で腐敗の原因となる微生物をおさえ込む効果が表れ、数日間は持続する。化学保存料に比べれば効き目は穏やかだが、品質を保つには十分という。もちろん無味無臭で食べ物の味を変えない。価格は六百八十―千二百円。
大手食品メーカーでは、この抗菌剤をつくだ煮や練り製品にも使っている。天然成分なので、化学保存料が入った食品に不安を感じる消費者にも受け入れられているようだ。
表皮を削った残りの竹の有効活用にもぬかりはない。冷蔵庫で野菜や果物が放出するエチレンガスを吸着、鮮度を保つための商品として販売している。
自然には人間を安心させる力があるように思う。竹の特徴を最大限に生かしたエコロジーな知恵は、食卓を明るくしてくれるに違いない。
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