◆「環境首都」へランキング◆


▲自治体の環境政策を様々な角度から評価

 できるなら良好な環境が保たれて快適なところに住みたいと願うのは当然。とはいえ、生活基盤を捨ててすぐに引っ越すわけにもいかない。やはり身の回りから環境負荷を減らすことが先決だ。自分の地域の環境対策がどの程度進んでいるか把握する尺度があれば、住民の取り組みにも力が入る。
 十の非政府組織(NGO)で結成した「環境首都コンテスト全国ネットワーク」は、自治体の環境政策を評価したランキングを毎年発表している。地域のエコロジー度を序列化することで、レベルアップを促す。
 自称「エコ自治体」の百十五市区町が参加した最新ランキングによると、トップは福岡市。地域住民で自動車を共同利用する団体に車両を無償貸与するなど、思い切った環境施策が印象に残る。二番手につけたのは仙台市で、施設整備の事業チェックを徹底したことなどが評価されたようだ。

 予算規模が大きい政令市などが優位に立つ中、三位に食い込んだのが人口三万人の熊本県水俣市。市職員の通勤に自動車の相乗り制度を導入するなど、ユニークな取り組みが光った。
 ただ上位三市にしても、省エネルギー推進など持続可能な社会づくりに取り組む独フライブルク市をお手本とする「環境首都」の基準には到達しなかった。参加自治体の平均をみればさらに低調なので、もう少し力を入れて背中を押す必要がありそうだ。
 幸いなことに、環境首都はいくつあってもいい。住民の積極的な取り組みがあれば、この国を首都だらけにできるはずだ。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/4/19(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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