◆公園美化愛犬家が協力◆


▲犬も協力してごみを集める(東京都世相谷区の砧公園)

 憩いを求めて多くの人が集まる公園は、利用者のマナーが問われる場所でもある。他人に不快感を抱かせないようにしなければならないのはもちろんだが、特に犬を散歩させる愛犬家にとっては、心配りが必要な場所でもある。東京都世田谷区にある都立砧公園では、ひもを外して走り回らせるなどマナーの悪い飼い主が増え、広い芝生スペースでは犬の連れ込みが禁止されてしまった。
 飼い主のマナーを向上させて共存の道を探りたい――。こんな思いから昨年発足したのが、周辺の愛犬家百人以上が参加する「砧公園愛犬友の会」。ひもを外さないなど散歩時のルールを徹底すると同時に、ほかの利用者がポイ捨てしたごみを拾う運動もスタートさせた。公園を使う人間のマナー違反をカバーすることで、愛犬の地位回復を図る狙いだ。植え込みなどに捨てられた空き缶や弁当の容器などを毎月一回拾い集め、多い月で九十g入りのポリ袋三、四個がいっぱいになるという。
 こうした愛犬家の取り組みに背中を押されたのか、都は先月下旬、公園内に設置したごみ箱を閉じた。休日などはごみがあふれることも多かったので、すべて持ち帰ってもらおうという荒療治に打って出たのだ。友の会のメンバーも、愛犬に「ごみは家まで持ち帰りましょう」というゼッケンを付けて散歩させるなど、ごみのない公園づくりを支援している。
 公園の美化を犬の力に頼るようでは肩身が狭い。自分の出したごみに責任を持つことは、犬をつないで散歩させることと同様、最低限のマナーだ。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/4/5(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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