来週から新年度。引っ越しシーズン真っ最中だ。新居に十分なスペースがなければ、愛着のある机や本棚と別れを余儀なくされることもある。大事に使った家具であっても、ゴミに出せば焼却されて行き着く先は埋め立て地。資源の無駄遣いであるだけでなく、家具に詰まった思い出まで粗末にしているようで心苦しい。
こんな思いを抱かずに済むのが、紙製品販売のダンディンドン(東京・渋谷)がつくった強化段ボール製の家具だ。使わなくなれば古紙としてリサイクルできる。別の紙製品として生まれ変わり再会できる日が楽しみになる。
|
段ボールといえば、ちょっと力を加えれば折れ曲がるので、変形したら使い物にならない家具には不向きなイメージもある。しかし、同社では自動車のエンジンなど重いものをこん包するのに使う特殊な段ボールを採用。負荷がかかる部分には段ボールを幾重にも張り合わせるなど設計にも工夫を凝らした。子供用のイスなら六百`cの力を加えても壊れない丈夫さを確保したという。
しかも、木材製の家具に比べて格段に軽いので、部屋の模様替えなどで家具を移動させるのが楽なのもメリット。西野哲朗社長は「リサイクルにも適した段ボール素材の良さをぜひ体験してみてほしい」と胸を張る。
重厚感たっぷりの木製家具を大切に使い続けるのもいい。そして、役割を終えればリサイクルできる段ボール家具にも大きな利点がある。使う状況に合わせて地球にやさしい家具を自ら選ぶ時代が来ている。 |