◆雪の冷房で夏を涼しく◆


▲貯雪庫の雪が夏の省エネに貢献

 全国で一年間に降る雪の量は、七百億―九百億dにも及ぶとされる。白い雪景色はきれいだが、交通の妨げになったり、屋根の雪下ろしをしなければならなくなったりと、日常生活の邪魔をする「厄介者」でもある。
 迷惑な雪も、省エネルギトには一役買っている。炭坑で発展した北海道美唄市内の賃貸マンション「ウエストパレス」では、冬の間に降った雪を夏の冷房に利用するユニークな取り組みが注目を集めている。北海道は夏も涼しく冷房なしで過ごせるというイメージを抱く向きもあろうが、近年は地球温暖化の影響なのか、美唄では最高気温が三〇度を超える真夏日も珍しくないという。
 二十四世帯が入居するマンションの敷地内に貯雪庫を設置。冬の間に駐車場に積もった雪を約百d分ためておく。夏に冷房が必要になると、この雪を解かした冷たい水を利用して、建物内に張り巡らせたパイプの中の水を冷却する。この冷たさを生かして、冷風をつくりマンションの各部屋に送り込む仕組みだ。
 このシステムは冬になればただちに暖房用に切り替わる。駐車場などの除雪費用が割安に抑えられるので、入居者は空調・除雪費用として年間六万円を負担するだけですむという。
 厳しい気候を逆手にとり、快適なエコライフをおくろうというアイデアには学ぶところが多い。もっとも、まだまだ寒さの抜けない今日このごろ、関心事は「夏の熱帯夜を利用して少しでも暖かく冬を過ごすことができないか」という逆の方向になりがちだが。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/3/1(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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